雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

輪廻ノムコウ

輪廻ノムコウ (電撃文庫 (0918))

輪廻ノムコウ (電撃文庫 (0918))

 昔の仲間から連絡を受け来日した魔女の兄弟、アルベールとジルベール。仲間と会う少し前にアルベールは、人間の血を吸っている場面を、好奇心旺盛なひとりの女子高生に目撃されてしまう。面白半分、ふたりに付きまとった高校生たちはやがて、兄弟とそのかつての仲間たちの争いに巻き込まれてしまう。
 ホラー、恋愛と今まで単発物の作品を書いてきた著者の最新作は、シリーズ物のアドベンチャー。現在と過去を交互に描くことで、主人公たちの苦悩や行動理由、交錯する人間模様を巧みに描いているが、そのため全体の話の流れが見えにくくなり、現在パートにのみ登場する高校生たちの魅力が薄い。口絵や挿絵、リアリティのある魔女や森の存在、そして何よりもその作風は、電撃文庫というレーベルが持っている破天荒さやいかなるジャンルにも分類できないような突飛なものではなく、むしろコバルト文庫講談社X文庫的な趣きに近い。(2004年04月・電撃文庫