雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

機械仕掛けの蛇奇使い

機械仕掛けの蛇奇使い (電撃文庫 (0916))

機械仕掛けの蛇奇使い (電撃文庫 (0916))

 権力を欲しいがままにするのではなく、ただ平和の象徴として座しているだけを求められる皇帝。十七歳の皇帝、ローティフェルドは面倒な伝統や義務に追い立てられるのを嫌い、ただ骨董品を愛でていられる時間が好きだった。ある日、彼は千年前に封印された“闘争と破壊の化身”ルルド・バイパーを解放する実験を執り行なう決意をする。
電撃hp SPECIAL』に掲載された「虚無を心に蛇と唱えよ」に加筆修整を加えたファンタジィ。何人かのキャラクタの名前、バイパーの性別、結末などに変更が加えられている。特に結末は、雑誌掲載版がグッドエンド的なものであったのに対し、文庫版はトゥルーエンド的なもので、より深みが増している。また文庫化されたことで入った挿絵の中でも、最初と最後の挿絵の因果関係は、きれいにまとまっている。とは言え、初期の上遠野浩平が持っていた青春小説的要素はなく、『冥王の獣のダンス』と、徳間デュアル文庫の「虚シリーズ」の中間に位置するような雰囲気の作品。単発作品を手っ取り早く読みたい人には、いいかもしれない。(電撃文庫