雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

過ぎ行く風はみどり色

過ぎ行く風はみどり色 (創元推理文庫)

過ぎ行く風はみどり色 (創元推理文庫)

 なんでも実家に祖母の霊を呼び出させようとしている霊能者と、そのインチキを暴こうとしている超心理学者が出入りしているらしい。猫丸の後輩、方城成一は母に助けを求められ、十年ぶりに帰宅した。しかし彼が喧嘩別れしていた祖父と再会を果たす前に、祖父は密室の中で殺されてしまう。犯人は家に憑いている悪霊――?
『日曜の夜は出たくない』に続く二冊目の倉知作品。猫丸先輩なる奇怪なお調子物が登場するという点は共通しているが、前作がわりとほのぼのとしていて、日常の謎を取り扱っていたり意欲的な作風を披露してきたことに対し、今作においては古典を思わせるガチガチの本格ミステリ。どちらかと言うと前作の雰囲気を望んでいたので、自分にとっては期待外れ。とは言えミステリ的には優れているし、ガジェットや展開からジョン・ディクスン・カーを連想させるらしいので、カーおよび海外ファンでも楽しめるかもしれない。(創元社文庫)