雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

空ノ鐘の響く惑星で3

空ノ鐘の響く惑星で〈3〉 (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星で〈3〉 (電撃文庫)

 玄鳥の奇襲と第二王子レージクの包囲、ふたつの危機をその類稀な運の良さと持ち前の運動能力で回避した第四王子フェリオ。一時は外務卿ラシアンと共に王都を離れた彼だったが、政務卿ダスティアと師であるウィスタルを救うために密かに王都へと戻っていた。一方、神殿騎士団のリカルドはイリスたち来訪者(ビジター)との接触を果たし、即位表明したレージクの元にはベルナルフォンという下級貴族が怪しい動きを見せていた。
 二巻までにおいて絶大な存在感を放っていたラシアンとウィスタルはちらりとも姿を見せず、メインのヒロインであるリセリナの登場も少なかった第三巻。相変わらず、登場人物たちの幅を広げると同時に、世界観をさりげなく説明し、事態を着実に前へと進行させるその腕前は上手い。複数の主人公に視点を持たし、文字数を稼ぐライトノベルが多い昨今、数ある登場人物の中から何人かを選び、その内面を深く描く技は匠の領域。第四巻も楽しみ。(電撃文庫