雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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再脱走する金曜日

 思い出したいほど、いい思い出を持っていないので、秋山はあまり昔のことを思い出しませんし、思い出さないのでどんどん忘れていってしまいます。のはずでしたが、何かの拍子か秋山がまだ幼稚園に通っていた頃のことを思い出しました。昔の秋山はかなりの問題児だったらしく、何度も幼稚園を追い出され、最終的には車で二十分ほど掛かるところに通っていました。思い出したのは通っていた幼稚園のいずれかで起こしたトラブルで――幼い秋山が個人的に好いていた女の子が、同じクラスの少年にいじめられていたので、彼の方にちょっと手を出してしまったのです。今にして思えば、彼の方も彼女に何か思うところがあっていたずらしていたのかもしれません。トラブルの結果、秋山はカウンセリングを受けることになり、クラスの集合写真でも、少女と少年の両方から最も離れた位置に立たされました。その後、似たようなことが何度かあったのですが、その度に秋山は守ろうとした仲間からも嫌われてしまい。難儀なことです。
ななつのこ』と『機甲都市伯林』という小説に登場する人物が「自分は一番になれない、ずっと二番目だ」というような科白を言うのですが、何番目、という選択肢に入るだけでとても素敵なことだと思います。