雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

食卓にビールを2

 なんかダメな感じのする少し不思議なセンスオブワンダ短編連作、主人公は16歳で女子高生で人妻で物理オタクで、そしてプチ家出中。なんて素敵でステッキーなんだろうか。一巻と同じくわりとデタラメな脇道を破天荒なスピードでドラフトしながら横転前転前回り受身、何のこっちゃ。おおよそ読者の理解を越えて、いやあ、私さえ楽しければ良いのよあっはっはー、というような感じで進む、本当に。そしてそのはちゃめちゃ具合、ドタバタ具合が実に面白い。この雰囲気はとても良い。ただ、人によっては、物語にストーリィを求めるタイプにとっては、納得がいかない小説だろう。きっとまるで面白くないはずだ。本来は自分もそうだ。小説なんてストーリィがあってなんぼなわけだから、雰囲気に酔わせられてもストーリィがてんでダメだったらダメなのだ。なのだけれど、この作品はいい、抜群にいい。それはもう主人公が最高で旦那が最高で脇役が最高で作者が最高で、そしてそして他の何よりも他の何を差し置いても他の何と比べることもできないまでに最高なのは、ビールとビールのある食卓だ。