雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

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幽霊たち (新潮文庫)

幽霊たち (新潮文庫)

「探偵ブルーが、ホワイトから依頼された、奇妙な、ブラックという男の見張り……」帯に書かれているこの文章が、本書の物語を端的に表している。佐藤友哉の『クリスマステロル』を連想しながら読み進めたのだが、とにかくリーダビリティが高いのだ。変化に乏しい、冗長とも言える展開なのだけれど、読んでいる最中は、不思議と読ませるのだ。次に起こる出来事が見えるようで見えない、奇妙な安定感を覚えた。軽妙な筆致は読んでいて心地よく、いつまでも浸かっていたい幻想のよう。ただ、抱きしめて眠りたい。
……と、こんな詩的な表現を許してしまう、趣きがあった。