雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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 成田良悟とは思えないぐらいにつまらなかった。
 期待値は非常に高かったのだ。世界中で様々な事件が起こっていて、その全てに針山さんなる一般人がかするように間接的に関わっている。しかし彼は決して、その事件の中心にはいなくて、いつも少し外れたところにいる。それはまるで彼がこの世界という巨大な物語の主人公であるかのようだ……。この設定には、心底、喝采をあげた。だって、成田良悟の群像劇的な作風が、これ以上はないと叫びたくなるぐらいに生かされている設定ではないか。だと言うのに、だと言うのに、これかよ。
「としれじぇ」は清涼院流水の『秘密屋』の方が数段上だし、「拝啓、光の勇者様」はうえお久光の足元にも及んでいない。成田良悟の本髄であるべき、三つの短編が交錯する「奇跡の中心、針山さん」は空気の抜けた風船のよう。もっと気張れ! 表紙のデザインに本編が完敗してるぞ!