雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

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ギブソン (ミステリ・フロンティア)

ギブソン (ミステリ・フロンティア)

「なにもかもが信じられなくなったとき、呑むのに相応しいものがいいな」

 上司をゴルフ場まで送り届けるため、主人公は彼の自宅まで迎えにゆく。しかし、上司は30分以上も前に家を出ていると彼の息子は言う。果たして上司の行方は――?
 出だしから何となく佐藤正午『ジャンプ』を想像していたのだが、いやいや、凄まじかった。デコボコしているスーパーボールのように、ひたすら読者の期待を裏切る方へ、予想だにしない方向へ跳躍するのだ。次々と明かされてはひっくり返される真相は、驚愕を通り越して、唖然の領域にある。そしてラスト、これ以上はないという驚きの、と言うかある種の呆れでさえ結末に至り、主人公と読者の心は完全に一致する「もう、なにもかもが信じられない」。凄かったなあ。