- 作者: 連城三紀彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/01/01
- メディア: 文庫
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読み手の心すら切り裂きかねない、極上の小説を読んでしまった。
「花葬シリーズ」と呼ばれる八篇の短編小説が収録された短編集。舞台や登場人物などが共通しているわけではなく、ミステリと恋愛というテーマと、どの編にもガジェットとして菊や菖蒲などの花が使われている点が共通している。30代以上のミステリ読みがベスト10などを挙げるとするならば、本書は必ずや上位にランクインするだろう。聞いて回ったわけではないので、推測ではあるが、その筋の人の言によると、まず間違いないだろうとのこと。聞きしに勝る、傑作であった。
特にどれが素晴らしいとは挙げづらい。実に優劣がつけにくいのだ。よしんば面白くない作品があったとしても、著者が連城三紀彦でなければ、傑作と言えてしまうのだ。だが、それでも敢えて、敢えて一作だけ挙げるとすれば「花緋文字」だろう。あまりに凄惨、あまりに凄絶である。