雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

880『楓の剣!』

楓の剣! (富士見ミステリー文庫)

楓の剣! (富士見ミステリー文庫)

 第5回富士見ミステリー文庫大賞佳作受賞作。
 今年は大賞がなく、佳作が一つに奨励賞が二つ、最終選考作が三つと、何とも微妙なラインナップに加え、一番、面白いであろう佳作の本書も今ひとつな評判で戦々恐々と読んだのだが、意外や意外、面白かった。……期待値が低かったせいかもしれないが。
 特筆すべきは100ページから始まる、主人公と幼馴染の婚約者の修羅場だろう。デレの殆どないツン同士の喧嘩! なんて、リアリティ溢れる「強情VS意地っ張りの図」だろうかと読んでいて膝を乱打してしまった。物語自体はテンプレに添って進むので先の先の先まで読めてしまうお約束の嵐なのだが、爽快感はある。主人公が強すぎないというのも好印象。もう主人公が最強で、覚醒しさえすればボスを倒せるというのはうんざり。中々、面白かった。