雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

881『憂鬱アンドロイド』

憂鬱アンドロイド (電撃文庫)

憂鬱アンドロイド (電撃文庫)

 第11回電撃小説大賞最終選考作。
 四編の短編から構成されている連作短編。シリーズとしての主人公は表紙に描かれているふたりだろうが、短編ごとに主人公は異なる。それぞれに悩みを抱えた主人公が、アンドロイドと人間のふたりに出会い、光を見出すような感動物。
 全体的に若いなあという印象が拭えない。悩みもそれに対する回答も陳腐、そして安易。けれど、全編に漂っている明るいとも暗いとも言えない中立の雰囲気は著者独自のものだし、「戯言だけどね」ぐらいのニュアンスで「ぼくはアンドロイドだから」と繰り返す少年に、「君は充分に人間だよ」と答えてあげる少女が身近にいるという設定はかなり落ち着く。イラストはいいし、化ける可能性も大有りなので続きを読もうと決めたのだが、なんとこの著者、デビュー作を出したまま沈黙してしまっている。電撃なのにも関わらず続きが出ないということは、相当、売れなかったのだろうか。残念極まりない。