雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

948『忘れないと誓ったぼくがいた』

忘れないと誓ったぼくがいた

忘れないと誓ったぼくがいた

 驚くほど真っ当に、忠実に構築されている。『ラス・マンチャス通信』を読んだときに感じた、突き抜けていて読者を選ぶような感じは消え失せ、中高生が読んでも感動できるような、まるでKeyのゲームのような作品になっている。
 エピローグの直前、具体的には246ページから数ページに衝撃を受けた。ここで書かれている内容を一言にすると、それはつまり「主人公=読者」ということなのではないのかと思った。我々は本書を何度も何度も繰り返し繰り返し、一字一句を完全に記憶し、最初から最後まで、通して暗誦できるほどに精読することで、我々にとってのあずさを現実にさせることができるのではないだろうか。もしかしたら、秋山は忘れているのかもしれない。消えてしまった誰かを。