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979『百年の誤読』

百年の誤読

百年の誤読

 二十世紀のベストセラーとされる作品を、年代順に取り上げていって「文学的評価や世間の評判なんて歯牙にもかけ、ダメなものはダメと断」じている、かつてになく笑える対談本。帯を見る限り、百冊ほど取り上げられているらしいが、秋山がその中で興味を持ったのは四冊だけ。どうひいき目に見ても、面白い小説を紹介している書評対談とは言えないので、ブックガイドとしての価値はないと言わざるを得ないだろう。けれど、本書の核となっているのは、やはり真摯な読み込みと紹介ではないかと思う。豊崎由美は秋山の中で、多くの人が「よく分からないが、なんだか凄い!」で片付けてしまうものを、どう凄いのか豊崎由美なりに考え、それを可能な限り説明してくれる人だ。本書においても、そのスタンスは「この本はここがダメだ」とビシッと指摘している点などから見て取れた。もしかしたら、読みたい本を教えてくれると言うより、読まなくていい本を教えてくれているのかもしれない。