やや今さらだが、
京極堂シリーズの魅力は何と言っても、
バラバラに見えていた複数の事件が実は一続きのもので、しかも
京極堂の周囲にいる人々が各々にその事件に遭遇し、敗れ、
京極堂に助けを求めたところ、すべての情報を手にした彼が快刀乱麻を断つが如く憑き物を落とす場面にあると思う。そうなると
京極堂が出張る終盤は、非常に魅力的で面白いのだが、謎を提示する場面は退屈でありうるのだ。第一作においてはまだその構造が見えていないがゆえに新鮮に楽しむことができ、第二作においては幻想と猟奇を前面に押し出しているからいいのだが、第三作であるところの本書では、金色髑髏や
潮騒、夢といったテーマやガジェットがややありきたりで退屈だった。まあ、残す三分の一は解決編だから、楽しめるのは確実だろう。