1094『待ってて、藤森くん！』

待ってて、藤森くん! (富士見ミステリー文庫)

　ううん、タイトルは最高なんだけれどなー……。
　いわゆる幼馴染物で「十年前の約束が……」なんていうフレーズが出てきて辟易もしたのだが、予想のつかない方向に物語が流れて、最後はそれなりに面白く読むことができた。しかし肝心の恋愛要素は薄く、二人のヒロインを上手く活かせていないように思った。
　後書きに面白い記述があった。

　舞台は出来れば学園で。超能力等、超常現象は使わないこと。もちろん殺人も無し――といったところが企画段階の前提条件としてありました。　

　殺人がなしというのは、いかにも富士見ミステリー文庫的で微笑ましいけれど、超能力と超常現象が駄目というのは、ちょっと意外で驚いた。富士ミスには、いわゆる現代学園異能（だっけ？）に分類できるシリーズがないから、ここらでひとつそういうのを作っておいてもいいと思うのだけれど。