雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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1179『新潮 2006年12月号』

新潮 2006年 12月号 [雑誌]

新潮 2006年 12月号 [雑誌]

 車谷長吉笙野頼子中原昌也金井美恵子舞城王太郎保坂和志柴崎友香の対談、そして――佐藤友哉の長編小説三百七十枚一挙掲載。これは間違いなく買い、というわけで買ってきた。
佐藤友哉「1000枚の小説とバックベアード佐藤友哉の久々の長編は、まるごと「小説」について語ったもの。「小説を巡る冒険」とでも称するべきか。小説とは何か、小説を書くとはどういうことか、小説を読むとはどういうことか、万人に認められなくては駄目なのか、たったひとりのために書いてはいけないのか、忘れ去られる運命にあるのか。様々な問いを自問しては、苦労しながらなんとか自答しようとする。これはもう小説対佐藤友哉という、一か八かの、彼の存在意義さえ賭けられた闘争のような小説だった。いや、実に素晴らしかった。「小説とは何か文学とは何か、それはまだ存在するのか、文芸誌なんて誰が読んでいるのか」以上の問いに対する答えはすべて、この作品の中に収められている。自分が本読みであると自覚している本読みは是非に読んでもらいたい。