雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

作中作が魅せるいとも鮮やかな反転劇

晩餐は「檻」のなかで (ミステリー・リーグ)

晩餐は「檻」のなかで (ミステリー・リーグ)

 久しぶりに関田涙。『密の森の凍える女神』と『七人の迷える騎士』を読んだ以来だけど地道に著作を重ねていた模様。本書『晩餐は「檻」のなかで』は、売れない作家パートと『檻のなかの七匹の』という作中作が交互に綴られるという二重構造。『檻のなかの七匹の獣』パートがもう少し面白ければ、傑作だったかもしれない。以下、感想抜粋。全文はこちら

 堅実に書けば上質なパズラーとなりうる可能性を秘めているように思った。しかし、著者にはそのつもりがないのか、俗っぽい売れないミステリ作家パートが挿入され、やがて混迷を極める『檻のなかの七匹の獣』よりも、苦笑を誘う売れないミステリ作家パートの方に面白味が移ってしまったように思う。

 以下、この本を読んだ他のひとの感想。

 作中作と言えばミステリの枠を超え、幻想的な世界に足を踏み込ませる事も出来るギミックであるが、そのような小難しさは捨て、ただ読者を幻惑させる手法として使ったミステリの秀作と言えるだろう。ただしゲーム的なミステリに疑問を抱く人は避けた方が良いだろう。人間の書き込みなどは本書には全く無い。

http://d.hatena.ne.jp/architect/20070227/p1

 売れない作家が懊悩するパートも、展開される人間ドラマがあまりに安く、しかし筆の中には《小説に関する主張》や登場人物に対するシンパシーが中途半端に見受けられ、どうにも吹っ切れていない。戸梶圭太折原一のように、色々と割り切って突き放せばいいのに……。

http://d.hatena.ne.jp/Wanderer/20070304

 作家パートは非常に面白い。「売れない作家」の実情にかなりリアリティがある。作家志望者とのメールのやり取り、近所の人から原稿を見せられたりなど、いかにもありそうである。そしてそれらが意外な方向に進んでいく後半も楽しい。

http://d.hatena.ne.jp/mmmichy/20070327#1174977987

 古き良き時代のメフィスト賞、といった雰囲気で、伝統を守りつつ新たな挑戦をしようとしている様は読んでいてこころから応援したくなる程、本当に微笑ましい。

http://d.hatena.ne.jp/tomariryuka/20070617/p1