雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

国内本格ミステリここ20年の流れを振り返ってみる

 昨日のエントリ「国内の本格ミステリ作家をまとめてみた」を見ながら、ふと新人作家がデビューする際には、仕掛け人の影が見えることに気がつきました。ミステリだけでなくどのジャンルにも言えることなのかもしれませんが、優れた作家がデビューする背景には、仕掛け人が作り出したムーブメントがあるのかもしれません。
 たとえば1987年から1993年。この時期は講談社東京創元社が競い合うように新人を世に送り出していますが、講談社側には島田荘司宇山日出臣東京創元社側には鮎川哲也戸川安宣の姿が見えます。
 そして1994年から2002年。この時期はメフィスト賞鮎川哲也賞から数多くの作家が輩出されています。メフィスト賞を運営していた講談社文芸第三図書には唐木厚と太田克史がいました。
 次に2003年から2006年。この時期はいままでとは逆に空位の時代と言えそうです。宇山日出臣は『ミステリーランド』を、唐木厚は『群像』を、太田克史は『ファウスト』を、戸川安宣TRICK+TRAPをそれぞれ始め(もしくは、移った)。そして鮎川哲也辰巳四郎が亡くなり、2006年には宇山日出臣も亡くなり、『メフィスト』が休刊されました。また第三勢力とも言える光文社のKAPPA-ONE登竜門も『本格推理』出身者から選出された初回を除き、鳴かず飛ばずでした。
 最後に今年、2007年講談社の『メフィスト』がリニューアルして再開し、東京創元社の『ミステリーズ!』から初の新人が単行本デビューし、島田荘司が「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を始めました。いまはまだ、ちからある新人が実際にデビューしてきたわけではないので、空位の時代が続いていると言えないこともないですが、これから大きく動きそうだという予感はあります。
 うーん、楽しみです。