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『時載りリンネ! 2』に登場する書名&作家名リスト

 1巻に引き続き、2巻でもやります。時載りリンネ!』に登場する書名&作家名リスト、です。
 このリストからも分かると思いますが、本当にあらゆる書籍に対する愛に満ち満ちている小説です。このリストから『時載りリンネ!』に興味を覚えていただければ幸いです。例の如く、ネタバレを配慮し、途中から続きを読むのなかに入れてあります。

時載りリンネ!〈2〉時のゆりかご (角川スニーカー文庫)

時載りリンネ!〈2〉時のゆりかご (角川スニーカー文庫)

 はじまり、はじまり〜

 で、あの物語の最後では一応こういうことになっている。リンネは『時の旋法』を手に入れて晴れて『時砕き』となり、物語は大団円を迎える。
(5〜6ページより)

 著者不明『時の旋法』清野静の創作。

 リンネはママさんが差し出した、ウィリアム・フォークナーの『死の床に横たわりて』と頼山陽の『日本外史』の二冊を恨めしそうに見つめたが、それでもしぶしぶといった体で受け取る。
(16ページより)

 ウィリアム・フォークナー『死の床に横たわりて』アメリカ文学
 頼山陽日本外史日本歴史書。

「ちぇ。なあんだ。本か」
『マシューとマリラに初めて会った頃のグリーンゲイブルスのアン状態のお下げ(※本人命名)』をさっと払うと、リンネはつまらなそうに口を尖らせた。
(21ページより)

 ルーシー・M・モンゴメリー赤毛のアン児童文学。「グリーンゲイブルスのアン」とは『赤毛のアン』の原題。

「リンネ、これは読んでしまった?」
 そう言ってママさんが書斎でリンネに向かって掲げたのは古めかしい装丁の『十八史略』だった。十二歳の女の子が読むにはこれほどふさわしくない本も珍しいだろうが、時載りにとって読書は内容ではなく字数がすべてだから歴史書や戦史書は決して悪い選択肢じゃない。
(29ページより)

 曾先之『十八史略中国歴史書。

「じゃあこれは?」
 続いて示されたのは『資治通鑑』の抄訳本。全二十巻の年代物だが、これまたリンネは首を振った。
「そっちも読んでないわ」
(30ページより)

 司馬光資治通鑑中国歴史書。

 ちなみにのちにリンネに聞いたところ、プレゼントの中身はジョン・アーヴィングの『ホテル・ニューハンプシャー』の原書だったというから、いかにもアメリカ文学好みのルウらしい選択である。
(46ページより)

 ジョン・アーヴィングホテル・ニューハンプシャーアメリカ文学

 テーブルの上に広げた『大いなる遺産』にもはや一顧だにしようとしないリンネに向かって僕は言った。
(154ページより)

 チャールズ・ディケンズ『大いなる遺産』イギリス文学。

 リンネはぐいと胸を反らしたが、出掛けに読み飛ばしたO・ヘンリの短編一本が果たして「ばっちりたっぷり」という表現の範疇に含まれるかどうかはかなり疑問である。
(159ページより

 オー・ヘンリー。アメリカの小説家、短編の名手と名高い。

「……どうしたの、これ?」
「よんで」
 やむなく僕はねはんを傍らに置くと、石井桃子の『ノンちゃん雲に乗る』を一ページ目から順に声に出して読んでやった。
(168ページより)

 石井桃子『ノンちゃん雲に乗る』児童文学。

「そうは言わん。が、『塔』の秩序は堅牢とは言え、はねっ返りはどの世にもいるということさ。我らはおのが活動に対する圧倒的な至上権を持つ。だがそれ故に奴らは『芽むしり仔撃ち』、つまり嬢ちゃんがまだ本物でないうちにその可能性を除こうとするだろう」
(190ページより)

 大江健三郎『芽むしり仔撃ち』近現代日本文学。

 Gが行李の中から見つけたその本には時載りとしてのジュビュックの足跡が詳細に記されていた。著者はローラン・フォンテーヌ。彼もまた時載りらしい。『揺藍の誕生』とフランス語で記されたその表題にはリンネも見覚えがないということだから、おそらくリンネの生まれる以前から箕作家に所蔵されていた本だろう。
(241ページより)

 ローラン・フォンテーヌ『揺藍の誕生』清野静の創作。

 リンネは小さく肩をすくめあっさりと言うと、広げていたエドワード・サイードの『文化と帝国主義』に再び視線を落とした。何となく物足りなさを感じつつも、僕はやむなく引き下がった。
(248ページより)

 エドワード・サイード『文化と帝国主義評論。

……というわけにもまさかいかず、こうして締め切り直前にまっ白なワープロ画面を前に頭を悩ませているわけなのですが、冗談(?)はともかく、本文の方は無事完成いたしましたので、この『時載りリンネ!』第二作、『時のゆりかご』をつつしんで読者のご高覧に供します。前作に引き続き、少しでも楽しんで読んでいただければ幸いです。

 清野静時載りリンネ! 2 時のゆりかご』第11回スニーカー大賞、奨励賞受賞作後第一作。


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