雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

SFファン交流会12月例会レポート

 ゲストが日下三蔵と聞いて「行かねば!」と思い、久々にファン交に参加しました。
 今回のお題は『日本SF全集・総解説』という、日下三蔵が『S-Fマガジン』に連載していた架空の全集の解説本でした。事前に買い求めて、かんたんに一読していたのですが実に優れたブックガイドだと思いました。各作家につき1600枚前後という枚数的な縛りを用意し、そのなかで長編を1本か2本、短編を10本ほどを紹介してくれているのです。この微妙な厳選具合が、SFに馴染みの薄い読者にはちょうどいい感じで「この作家は面白いから全作を読めと言われても困るけど、これぐらいなら……」と思える分量になっているのです。ファン交に参加したSF読みに知り合いに訊ねてみたところ、SF読みとしては「ああ、この作品を入れたか、なるほどな」という楽しみ方があるらしく、SFのひともそうでないひとも楽しめる一冊に仕上がっているのだなと思いました。
 以下、かんたんに、箇条書きで。

・コンセプトは、実際に売っても違和感を覚えないこと。
・まずは絶対に入れないといけないものを入れて、後は枚数の許す限り短編を入れた。
・理想的な全集を作ろうという意識があったので、著者が収録を拒むであろう作品も勝手に入れた(笑
・実際に全集を作るのは版権の問題から難しいだろう。
光瀬龍の回は光瀬龍追悼号に書いたので、単行本化に際しだいぶ手を加えた。
・第1期にはアンソロジーの巻があるが、第2期と第3期にはない。理由はアンソロジーの巻に収録するだけの作家が集まらなかったから。
・アンソロジー送りにするつもりで除外しておいて、アンソロジーの巻を作ることのできる人数が集まらなかったので止めてしまったために、取りこぼしてしまった作家が何人かいる。
・第3期は最初の「新井・夢枕・神林」と最後の「野阿・菊地・大原」が対になっている。
・実際に作ったらおそらく1冊あたらい4000円ぐらい。

 また、参加特典としてmixiにあるSFファン交流会のコミュニティ参加者を対象に行った既読アンケートの結果が配れたのですが、これがとても面白かったです。各作家がどれだけのひとに読まれているかが一覧化されているのですが、たとえば、

星新一はアンケート回答者35人全員が一度は読んでいた。
星新一小松左京光瀬龍の3人は、抜群の知名度を誇っていたが、光瀬龍は1冊しか読んでいないひとが多かった*1
高千穂遥は10代〜20代の読者にまったく読まれていなかった。

 といったことを読み取ることが出来ました。
 本会も二次会もたいへん楽しかったので、次回も参加したいなと思いました。

日本SF全集・総解説

日本SF全集・総解説

*1:この指摘がされた瞬間「ああ、みんな『百億の昼と千億の夜』しか読んでないのだな」という溜め息が方々から放たれた。