雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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不熱心なライトノベル読みが2007年下半期を全力で振り返りますよ(前編)

人類は衰退しました 2』が激烈に面白かったことを、第一に挙げたいと思います。後日、レポートを書きたいと思いますが、これはAtoZ読書会1月例会の課題図書で、発売日にamazonで注文し、買っていたのですが長らく手に取ることをしませんでした。つい積んでしまった理由としては、1巻があまり面白いとは感じなかったからです。文体や筆致は躍動的で、散りばめられていた小ネタの数々には笑わせてもらいましたが、地球の支配者が人類から妖精さんに取って代わった架空の地球において繰り広げられる小さな冒険それ自体は、それほどでもなかったです。とは言え、リーダビリティは「さすが田中ロミオ」と叫ばんばかりに高かったですし、気軽に楽しむ分には申し分ないと感じていたので、いつかは読んでいた……と思います。が、結果的に2巻を早い段階で読むことが出来て、課題図書で推してくれた方々には感謝の念を抱きます。改めて振り返ったところ、技巧的に優れているのは「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」かもしれませんが、個人的な好みで言えば「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」に軍配が挙がります。事前に田中ロミオ不思議の国のアリスという評を聞いていたので、妖精さんたちと同じサイズになって、彼らの生活を実感するような話なのかと思っていたら、そういうわけではなく、どちらかと言うと田中ロミオアルジャーノンに花束を*1といった趣きを感じました。と言うのも、なんとなくの印象ではありますが『人類は衰退しました』の世界観において、衰退してしまった人類は、ゆとりが極限までそのゆとりっぷりを追求してしまい、ニートだけになった世界に思えるのです。で、物語の後半になるにつれ、どんどん頭身が落ちてゆく主人公は、人間として駄目になってゆくように読めました。これにとてつもない共感を覚えてしまったと言うか、自堕落なものを持っている秋山にとっては、痛切に胸に響きました。似たような衝撃は角田光代『エコノミカル・パレス』絲山秋子ニートを読んだときにも覚えたことがあるのですが、本書においては、駄目になってゆく過程が、心身の両方において描かれているので、より身近に感じてしまったように思います。最終的な結論、物語の落とし方には首を傾げないでもないですが、しかし、128ページからの怒涛の展開には、左胸にきりきりと締め付けられるような痛みが走るほどに心を揺さぶられたので、もうあそこだけで満足です。非常に面白かったです。

人類は衰退しました 2 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました 2 (ガガガ文庫)

……と、このような調子で読んだ本を振り返りながら、2007年下半期ライトノベルサイト杯に投票する作品を決めようと考えていたのですが、このペースだと確実に締め切りを過ぎてしまうことが分かったので、先に投票だけ済ませて、感想は後日という卑怯な手に出ようと思います。と言うわけで本エントリは前編と言うことで、いつの日か後編を書きたいと思います。しかし、久しぶりにこういうエントリを書こうとすると、ついつい改行するタイミングを逃してしまい、はてな上だと実に読みにくい文章に仕上がってしまいますね。すみません。ちなみに作品名だけ、先に列記してしまうと新規作品部門では時載りリンネ! (1) はじまりの本』『みすてぃっく・あい』『<本の姫>は謳う1』『ツァラトゥストラへの階段』『ミステリクロノ II』の5作、既存作品部門では食卓にビールを6』『不気味で素朴な囲われた世界』『SHI-NO -シノ- 支倉志乃の敗北』『人類は衰退しました (2)』『刀語 第十二話 炎刀・銃 (ジュウ)』の5作に投票させていただきます。順不同です、と言うかリスト順です。ISBNコードは続きを読むのなかに押し込んでおきます。
【07下期ラノベ投票/新規/9784044732028】【07下期ラノベ投票/新規/9784094510270】【07下期ラノベ投票/新規/9784125010069】【07下期ラノベ投票/新規/9784840240727】【07下期ラノベ投票/新規/9784840241199】【07下期ラノベ投票/既存/9784829163955】【07下期ラノベ投票/既存/9784061825574】【07下期ラノベ投票/既存/9784829164037】【07下期ラノベ投票/既存/9784094510447】【07下期ラノベ投票/既存/9784062836524】

*1:ネタバレ反転。