雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

西荻と世田谷と浅草橋と

 激しく今さらではありますが、6月8日、第23回西荻ブックマークに参加してきました。
 元世田谷文学館主任学芸員斉藤直子さんがゲストで、世田谷文学館の開設や運営、企画の実現方法についてお話されたのを聞いてきました。
 2ヶ月以上経過してから未だに心に残っているのは「形になっているものを展示している美術館や博物館と異なり、文学館は展示の仕方が難しい」という発言です。絵画や彫刻と異なり、小説や詩歌というのは、紙というかたちになって存在しているだけで、現実には存在しません。だから、いかにして企画内容を展示するかがポイントだそうです。
 このことがずっと頭に引っかかっていて、そろそろ仕方なくなってきたので、行ってきました世田谷文学館。ちょうど、宮脇俊三と鉄道紀行展という企画が組まれていて、鉄道文学に触れてきました。秋山が最も興味を惹かれたのは『殺意の風景』。風景それ自体を主人公としたミステリで、第13回泉鏡花文学賞受賞作、直木賞候補作でもあるらしいです。これは近いうちに読みます。

殺意の風景 (光文社文庫)

殺意の風景 (光文社文庫)

 世田谷を舞台とした作品や、世田谷に住んでいた作家を展示している常設展も充実していました。様々な方の直筆原稿や生前に使われていたものが展示されていたのですが、山田風太郎の直筆名詞、寺山修二の直筆原稿、森茉莉のメモ入り新聞のテレビ欄などは一見の価値ありでした。また、ムットーニのからくり書物も素晴らしかったです。村上春樹「眠り」を材としたからくりが、いちばん良かったです。次に行く機会があれば「猫町」と「山月記」是非、見てみたいですね。
 世田谷文学館を出た後、浅草橋まで足を伸ばし、パラボリカ・ビスを訪ねました。高原英理トークショーのために行ったのですが、開演の1時間近く前に到着してしまい、ちょうど開催されていた堀佳子人形展「追憶の星」を見たところ凄まじい気魄を持った人形群に圧倒されました。考えてみれば、今まで球体関節人形の画集は見たことがあっても、実物を見たことはありませんでした。気を抜くと意志を持った人形が襲い掛かってくるのではないかと、びくびくしながら見て回りました。トークショーは様々な方向に話が飛び、面白く聞くことが出来ました。また『月光果樹園』を読んでから臨んだのですが、もっと多くの作家に触れてから再読しようと決意した次第。
月光果樹園―美味なる幻想文学案内

月光果樹園―美味なる幻想文学案内