雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

『ふたり──利用するもの、されるもの』感想


『ふたり──利用するもの、されるもの』


作者:姫野由香・ときざわあきこ
イラスト:茂木悠椿
発行元:みいこプロMORPHEUS

 文学フリマで買ってきました、姫野由香さんの新刊。ときざわあきこさんとの合同誌で、テーマは「利用する・される人同士の恋愛話縛り!」とのこと。これだけでは今ひとつ分かりませんが、あとがきを読むとしっくり来ます。

「利用したりされたり、利害関係で付き合ってきたはずが、いつしかうっかり恋に落ちちゃう……のが萌えなの」と語り、ときざわさんを巻き込んで1冊つくりました。

 にゃるほろ、納得れす。表紙はどことなく耽美風で「え、BL?」と思いましたが、そんなことは全然なかったです。
 以下、個別に。
姫野由香「永久の朔望農民出身の少女にして秘密組織『三日月』の一員たるみつきが、敵であるはずの領主の息子に弱みを握られて、片腕として奔走するという話。特に利害関係があるわけでも、主従というわけでもないので、テーマからはやや距離があるような気がしないでもないですが、テンポよく進むストーリィは心地よく、気持ちよく読むことが出来ました。最大の驚きは、最後までえろいシーンがなかったことでしょうか。全年齢対象の小説も書くのか! と驚きました。後、タイトルがすごい秀逸なんですよね。読み終えてからタイトルを見ると、実に凝っているのが分かります。。
ときざわあきこ「モノガミ狩り」モノガミと呼ばれる異形の存在を使役しながら旅をする律言師バクサを襲う悲劇を描いたもの。出だしは、よくあるファンタジィかなあと思っていたのですが、痒いところまで手が届く、丁寧な描写がどこまでもひたすら巧みで、凄いなあと感心していたら、小説を書き始めて20年以上経っているとのこと。それは上手いわけですよねー。上手かったー。上手かったわー。