雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

佐藤さんの『ピーピング・ダイアリー』を読みました

 もう6月ですけれど、まだ、文学フリマの話をしますよ。
 第8回文学フリマ終了後、超短編のひとや、てのひら怪談のひとや、オマケノベル部のひとや、ミステリのひとや、ライトノベルのひとたちと、ぞろぞろいつものように飲み屋に行ったわけです。確か30人くらい。
 つつがなく飲み会が終了し、それでは各々、帰ったり別れたりしてくださいとかなんとか言っているうちに、気がついたらid:hurukawaさん率いる面子に拉致されていました(ある意味ほんとう)。
 で、その集まりにいた佐藤さんから、新刊の『ピーピング・ダイアリー』を頂きました。この本、装丁が素晴らしくて、表紙は高橋の手帳を模したもので、裏表紙は、その手帳が破けているというデザインで、本編が見えてしまっているのです。
 なんとなく散策しているときに見かけて「いいデザインだなあ」と感じたのですが、買うには至らなくて、けれどずっと興味は覚えていて、後ろ髪引かれる思いで、文学フリマが終わった後も、ちょっと後悔していたのです。そんな本を、偶然、参加した飲み会に、偶然、参加していた著者本人から貰えて、秋山小躍りですよ。既に文学フリマから一ヶ月近く経っていますが、読んだのは確か次か、その次の日です。
 内容は、ある日、何者かが記した日記を拾ってしまった男の話なんですが、これが、けっこう読ませるんですよ。作中で、主人公が自ら指摘しているのですが、他人の私的な手帳を読むのって、その人物の私生活を覗き見ているような感じで、背徳的なんですよね。ぞくぞくとまではしませんでしたが、背筋がちょっと凍るようなシーンもあって、いやあ、面白かったです。一気に読みました。
 なんですけれど、細部はどうかと言うと、ちょっと微妙なシーンも多かったです。会社で上司連中に向けてプレゼンテーションを行うシーンがあるのですが、文を読む限り、スライドのなかにリスクを軽減する腹案が盛り込まれているにも関わらず、部長が「金額的にリスキーだが、そのへんは考慮してますか」という質問を行っていて、しかもそれに対して主人公が「リスクから逃げていては何も出来ないと思います」なんて返しているのです。この主人公には、惚れないだろう常考……。
 まあ、でも、全体的には面白かったです。向日葵さんのイラストも素敵でしたしね。