雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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第4回「名古屋ミドルロングゲーム会」レポート

 先月に引き続き、今月も参加させて頂きました。
 事前に参加する旨と遊びたいゲームを申告することが必須条件とされ、なかなかに敷居の高いゲーム会ですが、その代わり、他では遊ぶ機会を得にくい長時間ゲームを確実に遊ぶことができるというのが魅力のゲーム会です。
 今月は『1830』と『剣闘士』が遊ばれるということで、秋山は『1830』への参加を希望しました。

1830



(インスト:110分、プレイ時間:320分)
 長時間ゲームの代名詞。
『1829』に始まる18xxシリーズのひとつであり、本作でシリーズの根幹となるルールが完成されたと言われています。それ故にファンも多く、未だに繰り返し遊ばれていたり「最初に遊ぶなら『1830』」と言われることもあるそうです。ただ、その一方で「後にルールが洗練されたり、プレイ時間が短くなら18xxが出ているので、初めて遊ぶならそっちの方がいい」と言う方もいて、まあ、いろいろあるみたいです(特に『18EU』と『1846』は評判が良いですね)。
 このゲームを初めて見たのは、高円寺盤遊会です。朝から遊び始めて、夜の解散直前まで同じゲームを延々と遊び続けているひとを見て「世の中には、なんて長いゲームがあるんだ……!」と震撼しました(当時は『ヒストリー オブ ザ ワールド』も知りませんでした)。
 前段が長くなりましたが、アリタさんが『1830』を立てられるとのことで、遊ばせて頂きました。
 ルールは驚くほどシンプルでした。株売買のラウンドと会社経営のラウンドを交互に繰り返します。株売買ラウンドでは、手持ちのお金を使って市場に余っている株を購入するだけです。購入は1手番1回で、全員がパスするまでぐるぐる回ります。一定の条件が満たされると会社が設立され、その時点で、いちばん株を保有しているひとが社長になります。会社経営のラウンドでは、路線を伸ばしたり、駅を立てたり、列車を走らせて利益を上げることができます。得た利益を株主に分配するか、会社で内部留保するか決めます。以上をプレイヤか銀行のどちらかが破産するまで繰り返すわけです。
 他にも、いくつか例外処理があるのですが、基本は、これだけです。
 インストが約2時間弱と長めでしたが、大半は例外処理に関する説明と、アリタさんによる、最低限の序盤のセオリーや注意点が占めていました。
 インスト後、休憩を取ってからゲームを開始します。


 かきまぜたタイルの中からひとつを選び、席順を決めると、もうランダム要素はありません。すべての要素はボード上に定時され、後はプレイヤの選択だけでゲームが動いていきます。
 ニューヨーク周辺が非常に強いらしい、2社経営して、1社が配当して、1社が内部留保する作戦は強いのではないか、パラシュートが楽しそう、ペンシルヴァニアが愛する緑色だ──などと考えつつ、プライベートカンパニーのビットを始めたのですが、いきなり山田さんがワンして、急スタートです。
 上家の林さんが、秋山の狙っていたパラシュートにビッドしたので、とりあえず、自分はペンシルヴァニアを抑えておくかと思いきや、下家の渡辺さんがニューヨークセントラルを生み出す会社に行って、アリタさんがペンシルヴァニアにビッドを重ねてきて、そして山田さんが「ワン」。
「なにいいいい!!!」
 まあ、平たく言うと、序盤から大波乱だと思ったのです。両隣が、さっさとプライベートカンパニーを抑え、残った2社を間に挟み、経験者のアリタさんと睨み合うことに。「ひー」と内心、泣きながらペンシルヴァニアに対するビッドを重ね、なんとか落札。アリタさんは悩みつつもB&Oをワンして、ようやくゲームが始まります。
 ランダム要素ないだけに、他プレイヤの選択ひとつでゲームが激しく動きますね。


 アリタさん以外の4人は初プレイということで、まずは、全員、睨み合うような展開。
 激戦区になると思しきニューヨークには、誰も手をつけず、秋山はペンシルヴァニア(PRR)を、林さんはチェサピーク&オハイオ(C&O)、山田さんはカナディアン・パシフィック(CPR)の社長に就任。渡辺さんとアリタさんは、まんべんなく株を買い揃え、副社長の座につきます。
 序盤が、この3人が粛々とアメリカ東部に路線を広げ、利益を分配して、株主に利益をもたらしていきます。
 序盤から中盤に掛けて、得た利益を糧に秋山はPRRの次にニューヨーク、ニューヘブン&ハートフォード(NNH)の社長となり2社経営、林さんもC&Oに続きエリー(ERIE)の株を買い、山田さんもニューヨークセントラル(NYC)の株を買い2社経営体制に。アリタさんは遅ればせながらボルチモアオハイオ(B&O)の社長に就任。渡辺さんは、引き続き副社長の座に収まり、良質な株を虎視眈々を狙われていました。
 中盤、CPRは利益を分配させ続け、NNHは内部留保させて資金繰りに苦心しました。片方の会社で良い列車を買って、もう片方の会社で格安で与える。2社経営している社長だけが使えるテクニックです。横を見ると、林さんも、C&Oは株主に利益を分配しつつ、エリーの方で列車購入の資金を貯めています。山田さんだけは、何故かCPRもNYCも分配を続け、非常に気前のいい社長ですが、列車購入の資金が足りず、倒産するのでは……という様子が漂い始めます。


 中盤過ぎ、秋山の耳元に悪魔が囁きかけました。
「山田社長率いるNYCとCPRがニューヨークの上部を抑えている今、NNHの発展性は、もうないだろう。今、持っている5の列車をPRRに与えたうえで、売り払ってしまうのはどうかね……?」
「はいっ!」
 反対側の耳に「やめなさい、秋山。会社を売り払うだなんて、社長としての責任は、どこに行ったの?」と天使が囁いていましたが、無視しました。どうやら『1830』というゲームは、最終的に自分が持っている資金だけが全てのゲームで、会社の金庫に入っているお金は自分の得点にならないのです!
 こうして、人知れず決意を固めた秋山は、こっそりPRRへと優良列車を譲り渡し、少しでも高く会社を売り払うため、積極的に利益を分配し、優良企業アピールをはかります。
 そんな様子を経験者のアリタさんは、薄々と気づいていた様子で、いざというときに不利益をこうむらないように、こっそり動いていた様子です。


 そして終盤、分配された利益で調子よく稼いでいた山田社長がボストン&メインの株を集め、社長になった直後──、
「ニュヨークヘブンの株を売ります〜」
 売り払います!
 アリタさん以外の3人が「えっ」という顔をしている中、秋山の手元にあったNNHのボードが、偶然、次に株を多く持っていた山田さんの手元に舞い込みます。
 こうして秋山は時代遅れになりつつある列車と20金しか持ってない不良会社を、社長になったとき以上の金額で売り払うことに成功したのです。
 対して苦しかったのは山田さんです(ごめんなさい!)、分配ばかりしていたので山田さん自身は金持ちでも、会社の金庫に金の入ってない会社を3社も抱えており、総合的に見れば火の車です。
 そこに助けの手を差し伸べたのがアリタさんです。「これをこうして、次のターン、こっちで、これをこうすれば、ほら!」魔法のような手腕で見事、会社の危機を乗り越えます。すごい!


 終盤、5の列車でしのぐアリタさんと秋山、自腹を切りつつもパーマネント2台体制で追い上げる林さん、ここに来て隠し持っていた資金で山田さんのNYCを乗っ取った渡辺さんがデッドヒートを繰り広げます。山田さんも苦境を乗り越え、それぞれパーマネントを持った3社経営状態で収益性が抜群です。
 最終的には銀行が倒産し、そのラウンドの終了時に最終決算を行いました。
 結果は下記の通り、秋山は終盤に2手ほど誤っており、それで100金前後を損していたのが痛手になりました。もう1ラウンド、続いていれば加速力において申し分のない林さんが一位に躍り出ていたかも……? という感じでした。
(アリタさん5942点、秋山5898点、林さん5314点、渡辺さん4536点、山田さん3861点)」

おわりに

 前回の『七王国の玉座』同様に、またしても開催時間を限界まで使うロングゲームを遊んでしまい、1作しか遊べませんでした。
 とは言え、やはり充実度という意味では、他のゲームでは得られないものなので、前々から遊んでみたいゲームでしたし、非常に良かったです。
『1830』というゲームですが、とても面白かったですね。中盤、NNHを手放してからは、経営している会社が1社だけになり、ダウンタイムをやや長く感じましたが、全体的に、さくさくと進み、ほとんどダレることがありませんでした。なので、時間が過ぎ去るのも早く、あまり「長かった」感はなかったです。
 他の18xxも遊んでみたいですね。

おわりのあとに

 先日のFTさん宅で行われたゲーム会に続き、今回も自転車で行きました。往復25キロを100分ほど掛けて走りました。帰りは余裕があったので、少し寄り道して、のんびり景色を眺めながら帰りました。
 帰宅後、やっぱり打ち上げにも行けば良かったなあと思いつつ、ビールを飲み始め、運動した後のビールの美味しいこと、美味しいこと、やっぱり帰って正解だったと思いつつ、少し1人用ゲームを遊びました。

ラストセブンデイズ


 Manifest Destinyさんのゲームマーケット2013春の新作。
 世界の終わりを割けるべく、最後の七日間を繰り返し、トゥルーエンドを目指すゲーム。エンディングリストを見ながらプレイしましたが、第2ループで「嫌いじゃなかったですよ、先輩のこと」を置くはめになり、トゥルーエンドへの道が断たれ、ならばハッピーエンドを目指すかと思いきや「今更だけど、死ぬのって…結構怖いですね」を置くはめになり、もう、なんだか、グダグダでした。
 以前「TASさんに『ヴォーパルス』を遊んでもらいました」というエントリを書きましたが、今度は『ラストセブンデイズ』でやってみようかしら。

ウルビオン(エクィリブリオン)


 1人用ゲームの傑作『オニリム』に続く、夢を題材とした1人用ゲームの第2段。
 元々は『エクィリブリオン』というタイトルでしたが、なぜか改題され、現在は『ウルビオン』という題名で流通されています。
 良い夢と悪い夢の均衡を取るゲームですが、ちょっと信じられないくらい難易度が高くて驚きました。
 特に混沌カードの攻撃力が低くて『オニリム』では、悪夢カードが出てきても「こんなこともあろうかと鍵を取っておいたのだ!」と回避できますが、『ウルビオン』においては、容赦なくダメージを食らいまくります。
 続けて2回遊びましたが、2回目の方が得られた街カードが減ったりして……うーむ、難しいです。

おわりにのおわりに

『オニリム』も遊ぼうかなと思ったのですが、疲労状態にある身体にビールを注ぎ込んだら、いい具合に眠くなって寝てしまいました。
『ウルビオン』は面白いので、これからも、暇を見つけては遊んでいきたいなと思います。
 ちなみに、次回の「名古屋ミドルロングゲーム会」は7月28日だそうです。ミスボドの翌日で、東京にいるので残念ながら参加できません。