『COMPANY:BOCG』や『AKINDO』といったゲームで、あるいは「世界水準のボードゲーム製作に挑む」というキャッチフレーズで知られるProduct Artsの坂上さんのご自宅をお邪魔しました。
坂上家ハードコアゲーム会というのは、坂上さんがお知り合いの方をご自宅に招いて、定期的に開催しているゲーム会ということで、本日は秋山の他に、名古屋で惨劇オンリーのゲーム会を開催されているぷれじさんと、ボードゲームを研究されている眞鍋さんが呼ばれました。坂上さんのご自宅は、秋山宅から2駅から離れてなかったので、自転車でのんびり行きましたが、眞鍋さんは、わざわざ福井県がお越しになられていた様子です。
13時集合でしたが、翌日、京都にて所用があるという眞鍋さんが帰られるため19時半でいったん閉め、その後、22時まで3人で語り合いました。
本エントリでは4人で話したことと、遊んだゲームの感想について、ぽつぽつ書いてみたいと思います。
議論
色々と議論されたのですが、あまり筋道を立てず、主にブレインストーミングでした。
30分だけ「最近、思うこと」というお題で、それぞれ持論を述べる時間があったので、そこだけメモを取りました。以下、特に発言者は記載せず、主張だけ箇条書きにしたいと思います。
・最近ではなく、ずっと考えていることだがゲームを日本に文化として根付かせたい。家庭においてゲームがふつうに遊ばれる文化を根付かせたい。そのために活動は第1が作ること、第2が売ること、そして第3が広めること。第1と第2はビジネスになっているが、第3はボランティアで止まってしまっているが、ビジネスにまで発展させたい。
・広めるにあたり色々なアイデアを集め、一緒に動いてくれる仲間が欲しい。今はボランティアとしてゲーム会をやっているが、なんとかビジネスにしたい。
・文化として根付かせるならビジネスにすることと、総人口を増やすことが不可欠。
・ゲーム会に関しては数百円で参加するひともいるが、交通費を含めると1万円以上を払って参加するひともいる。
・ゲーム会の他に、老人ホームに行ってインストラクターをやることで裾野を広げている。
・ゲームを作るひと、それを広めるひと、立場が違うひとが手伝った方がいい。
・最近は国産ボードゲームを購入するひとの購入理由が疑問。
・良いゲームだから買うのか、好きなデザイナだから買うのか、国産ゲームだから買うのか。
・同人ゲームの場合、絶版を恐れて購入する層が多いのではないか。
・応援の意味を込めて購入する人もいるであろう。
まあ、だいたい、こんな感じです。
メモを取るのに精一杯で、あんまり発言できなかったので、最後に、一言二言、最近、考えていることを述べたりしましたが、まあ、取り立てて、たいしたことは言いませんでした。
……どちらかと言うと、本質は、上記以外のところにありますね。オフレコで話したこともありましたし、流通や原価や横のつながりや、そういったところに、多分、核となる考え方があったように思います。
様々な想いを持ってゲーム製作に挑まれている坂上さん、ゲーム歴が長く造詣も深いぷれじさん、研究者の視点から奥行きのある思考の眞鍋さん。皆さんの発言は示唆に富み、独自の視点による分析は興味深く、非常に楽しい時間を過ごすことが出来ました。
AKINDO
(インスト:8分、プレイ時間:25分)
では、そろそろゲームの話について。
まずは遊んだことがなかったこともあり、是非とお願いして坂上さんの『AKINDO』を遊ばせて頂きました。
いわゆる握る系の競りゲーですが、競りの対象として西と東の2箇所に分かれており、基本的には、どちらか片方にしか入札することができません。西と東、どちらかにお金を置くか、もしくは競りに参加せずに小銭を稼ぐかの三択です。システムの根幹には競りとバッティング、その上に「どのカードをいくらで競り落とすか」というマネジメントがあり、そのさらに上に「カードのボーナスポイント」で勝つか、「お金の素点」で勝つか、勝ち筋もふたつあります。
談合などの要素もシステムも取り込まれており、いわゆるドイツゲーム的な要素に日本人的思考や習慣が上手いこと混ざり合っており、非常に面白かったです。30分で終わる収束性も素晴らしいですね。難しいですが、誘われたら断らないゲームかな。
(秋山21点、ぷれじさん20点、眞鍋さん20点、坂上さん15)
コンテナ
(インスト:14分、プレイ時間:120分)
続いては一部のボードゲーマーにコアな人気を誇る『コンテナ』。
実は『十二季節の魔法使い』が遊ばれそうだったのですが「実は、ちょっと、ノット・フォー・ミーです」と小声で囁いたら「じゃあ『コンテナ』にしましょう!」と言って頂けて助かりました。そして『コンテナ』は前々から、ずっとずっと遊びたいゲームだったので「あ、それなら全力で遊びたいです!!」と超同意。
いやあ、素晴らしく面白かったですね。
交渉とマネジメントのゲームでした。クニツィアの『クオバディス』を複雑にして、競りの要素を加えて、ランダム要素を減らした感じでしょうか。他人の足元を見る感じが非常に嫌らしく、マネジメントゲーム必須の要素である借金も素敵でした(ワレスの苦しさとは比較にならないですか)。
このゲーム、最大の面白味である点数の不透明性は、良いところでもあり、悪いところでもありますね。前半と後半でゲームが変わること(前半は箱庭、後半は交渉)に気がつくのが遅く、ちょっと配分は誤りました。終盤は、他プレイヤの狙っている色が透けて見えるようになり、意図的に価格付けができましたが、ちょっと遅かったかなあ……と。
ゲーム終了後、ぷれじさんが「相場が分からなかったから」を連呼されていましたが、個人的には、相場は関係ないんじゃないかなあ……と。
つまり、相場は、各プレイヤの伏せカードによって決まってくるので、初期工場がランダムであることから、プレイヤの性格もあって一定しません。むしろ、耐えず変動するので、その時々での相場を見極めたり、あるいは自ら操作していく必要性があります。そういった意味では、経験者同士のゲームでは、かなり高度な情報戦が繰り広げられるように思います。たとえば『OWACON』の最初のラウンドで、他プレイヤにブックやスタチューを押し付けるような変則的なプレイが出来る方は『コンテナ』に対する適正値は高いと思います。……この比喩、分かりにくいな。
(坂上さん163点、秋山120点、眞鍋さん111点、ぷれじさん101点)
おわりに
と言うわけで、遊んだゲームは以上です。
これ以外の時間は、だいたい喋っていたので、いかに、いっぱい喋っていたかですね。水筒を持って行って正解でした。次回はお酒を持ち込もうかしら……。