雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

第1回「文学フリマ金沢」レポート

 石川県は金沢の地で、第一回文学フリマ金沢が開催されました。
 文学フリマと言うのは、創作文芸系の即売会ですが、東京でスタートして、大阪で定期開催され始めた後に、金沢、福岡、東北と、続々と地方開催が決まっており、創作文芸の中では、特に活気のあるイベントですね。
 初開催の金沢では、遠征組のために合宿が企画されたり、当日もセミナーやワークショップ、委託の請負やお土産物屋さんの出店があったりと色々な試みがありました。秋山も出店したり色々したので、かんたんにですが、レポートしようと思います。

中安旅館


 まずは合宿から。文フリ金沢の会場から近江町市場を挟んで、徒歩10分ほどの立地です。金沢城兼六園、ひがし茶屋街も徒歩圏内で、観光拠点としても優れています。
 受付に立ち寄ると「同室の方が、お見えになってますよ」とのことで、いそいそと階段を登ります。途中、疲れた顔の山崎代表とすれ違ったので「元気、出して!」と肩を叩きます。
 部屋に着くと、金沢市内の古本屋を巡ったという添田健一さんと、俳句を嗜まれるという小鳥遊さんがいらっしゃっていたので「観光しましょう、観光!」と急かします。
「え〜、僕、今、帰ってきたんだよ? 携帯の充電も出来てないし」
「じゃあ、案内してくださいよ! ほら、充電器、貸しますよ」
「ここに電源があるからいいよ。え? ほんとに行くの?」
「行きましょう行きましょう、小鳥遊さんも! 友情を深めましょう!」
「え、僕も行くんですか?」
「仕方ないなあ。秋山君がそこまで言うなら行くよ」
 初対面から十秒も経ってない小鳥遊さんと、明らかに疲れ顔のそえさんと共に部屋を出ます。意気揚々と宿を出ると、文学フリマガイドブック最高責任編集者の想詩拓さんが、ちょうど自動ドアを開けようとしていたので、
「想さんも行きましょう!」
「え、何処に?」
「来たら分かりますよ!」
 と腕を引っ張ります。

泉鏡花記念館〜主計町茶屋街〜ひがし茶屋街


 そえさんの案内で周辺を練り歩きました。
 良い具合にポータルもハックできて、ほくほくです。想さんは無類の庭好きとのことで、特に主計町茶屋街は気に入られたそうです。小鳥遊さんには、せっかくの旅行なので、この旅行の経験を俳句にして、一冊にまとめてみてはと提案したりしました。

宴会


 小走りで旅館に戻ってくると、ちょうど宴会が始まる頃合いでした。
 総参加者数は25名ほどだったでしょうか。山崎代表の乾杯を経て、金沢の料理に舌鼓を打ちます。途中、サプライズ的に、文フリ金沢事務局のスタッフから、頑張った山崎代表へ、鯛のかまぼこがプレゼントされたり、シャンパンがプレゼントされたりします。
 料理はどれも美味しかったのですが、飲み放題メニューの日本酒、加能山河は特に良かったですね。あまり量産していない地酒とのことで、地元の方が寝酒として愛用しているらしく、市場には、あまり出回ってないそうです。確かに普段使いにぴったりで、主張が控え目で、酔いたいと思ったら大量に飲むことになるので、ゆるゆると長く楽しむには最適でした。
 美酒美食を堪能し、良い気分になったので、佐藤さんや真乃さんたちを誘って、すみっこでごいたを遊んでいたところで解散になりました。

二次会


 宴会後は、金沢の夜を攻めるべくヤッホーお茶漬け屋こと志な野や、飲み屋に繰り出した面々と、旅館の一室にお酒を持ち込んでボードゲームに興じる組に分かれました。秋山は当然後者です。泊まる部屋は男子女子と分かれているのに、飲んだり遊んだりするときだけ一室に集まるのって合宿の醍醐味ですよね。
 8人という大人数で、クニツィアの『コルセア』をペア戦しました。ペア戦ルールで遊んだのは初めてでしたが、中々どうして悪くないですね。2戦したところで「温泉にも入るぞ!」ということで、浴衣を持って浴場へ向かいます。

 湯船に浸かってのんびりした後は、佐藤さん持参のブランデーを、ちまちまと飲みながら、ひたすらごいたに耽ります。途中、飲みから戻ってきた大阪代表の上住さんが遊びに来られましたが、若旦那の気配をまとわりつかせるところに、ふしぎな風格がありました。何故、写真を撮らなかったのかと後で悔やみました。

朝食


 2時か3時くらいまで、延々とごいたを遊び、疲れ果てて寝ましたが、6時に自然と目が覚めました。美味しい朝ごはんをいただいていたら、森村さんが朝の金沢城は良かったと仰るので「そえさん、行くっきゃないですよ!」と。乖離性ミリオンアーサーとかやってる場合じゃなかったです。
 他にも何人か誘ったのですが、佐藤さんは、ひがし茶屋街のポータルをハックしにいくと仰られ、西瓜さんは朝に弱いのかなんだか上の空でした。

金沢城


 と言うわけで、朝の金沢城です。
 観光客がほとんどおらず、その代わり、ゲートボールに興じているご年輩の方々がいらっしゃいました。テンションが上がったので、そえさんと競争したりしました。

兼六園


 ポータルをハックしながら、兼六園にも入場します。
 前日に、時間を掛けて兼六園を散策したそえさんが、最適なコースで、最適な景色が堪能できるように小走りで先導してくれます。朝の兼六園は良いですね。ひとつの池でも、角度によって全然、雰囲気が異なります。

近江町市場


 小走りで旅館に戻ってくると、すでに設営に参加する予定の皆さんは荷造りを終えて、出立の準備を始めています。見ない顔は、もしかしたらまだ部屋で休んでいるのかもしれません。急がないと間に合いません。そえさんとふたりで、早々に支度を済ませ「近江町市場に行きましょう! 近江町市場に!」と肩を叩き、事前設営のために歩き始めている皆さんを走って追い抜き、近江町市場へ向かいます。
 いやー、朝の近江町市場いいですね! 観光客が少ないので、すいすい歩けます。海老を食べたいと思っていたのですが、ホタテに心惹かれて、買い食いすることにしました。

そして会場着


 ホタテが焼き上がるのに時間が掛かり、会場まで走ることになりましたが、なんとか設営希望者の集合時間に間に合いました。朝から、どれだけ走っているのかという感じですが……。
 全部で3つの班に分けるとのことで「力仕事できるひとー?」という山崎代表の呼びかけに「はいはーい!」とジャンプします。仕事の内容は、ヤマトのトラックから事前搬入のダンボール箱を受け取って、台車に乗せて会場まで運ぶ、でした。
 やってきたトラックの中に入って、大量のダンボールの中から、的確に文フリの荷物を識別して荷降ろししていきます。ここでひとつコメントを。引っ越しのバイトや、何度もサークル参加したことのある方はご存知かと思いますが、紙は地球上で最も重い物質です。その紙を束ねたものであるところの本を、ぎっしりと詰めたミカン箱は、容易に持ち上げられるものではありません。送料軽減のために詰め込みたくなる気持ちは分かりますが、分割がオススメです。後、ダンボールの側面に行き先の階が書いてあると助かるなと思いました。

設営開始


 搬入を終えたので、さくさくと設営を始めます。
 今回、雲上回廊の持ち込みは、下記の通りでした。

【新刊】『そえもの』300円/30部持ち込み
【新刊】『ゆる本 Vol.22』200円/20部持ち込み
【新刊】『ゆるふわ紙 Vol.4』無料/30部持ち込み
【既刊】『幻視コレクション 失われた一葉の架空』800円/3部持ち込み
【既刊】『幻視コレクション 思い焦がれる追憶の行方』800円/5部持ち込み
【既刊】『幻視コレクション 終わりなき夢想の終焉』800円/10部持ち込み
【既刊】『山吹色外典』1000円/10部持ち込み
【既刊】『墨妖』1000円/15部持ち込み
【既刊】『てきとーの(す)べるせかい』800円/4部持ち込み
【既刊】『反理想郷にさよならを』1000円/10部持ち込み
【既刊】『異界再訪の扉と十三の不思議』300円/2部持ち込み
【既刊】『ゆる本 Vol.19』200円/3部持ち込み
【既刊】『ゆる本 Vol.20』200円/16部持ち込み
【既刊】『ゆる本 Vol.21』200円/8部持ち込み
【既刊】『ゆるふわ紙 Vol.2』無料配布
【既刊】『ゆるふわ紙 Vol.3』無料配布
【見本】『世界再生の書物とひとつの楽園』在庫なし見本のみ
【見本】『裸の女の肖像』在庫なし見本のみ
【委託】『AHNENERBE vol.1』500円/5部持ち込み
【委託】『AHNENERBE vol.2』1000円/5部持ち込み(打算とも名誉とも無縁なもの)
【委託】『悪くない場所RPG』500円/5部持ち込み(打算とも名誉とも無縁なもの)

 既刊はいずれも5部以内に収めようと思ったのですが、そえさんに「え、『墨妖』それだけしか持ち込んでくれないの」と悲しそうに言われたので少し多めにして、『幻コレ赤』『山吹色』『反理想郷』は在庫多数なので、覚悟を決めるために多めにしました。
 今回はブースが狭いこともあり、立体展示は控え目に、新刊と委託だけ面陳して、既刊は平積みにしました。だいたい40分くらいでしょうか。早めにスタートしたこともあり、余裕をもって準備完了できました。

会場の様子


 写真はけっこう撮ったのですが、わりと人物が映り込んでしまっていて、公開できそうなのは、これくらいです。見本誌置き場です。
 見本誌置き場の隣に委託本の売り場がありました。ここのシステムは、初めて見ましたが、面白かったですね。見本をスタッフさんに渡すと、在庫の中から探しだして、販売してくれるというシステムでした。

セミナー1 テクニカルセッション〜同人誌のつくりかた

 開場後30分、11時半よりセミナールームで「テクニカルセッション〜同人誌のつくりかた」が開催されました。
 されました、と言うか講師を務めました。
 そう、経緯はまったく覚えていないのですが、いつの間にか、こんなセッションを担当することになっていたのです。確か、昨年の文フリ大阪の打ち上げで、山崎代表に「ザッキー、もっと飲めよー」と絡んでいたときに「秋山さん、金沢で何か喋ってくださいよ」「ええよ〜」みたいな会話があったような気がします。
 聴講してくださった方は20名ほどだったでしょうか。開会5分前までは、2、3人しかいなかったので、すごい小じんまりとした会になりそうだなと思っていたのですが、蓋を開けてみれば盛況で良かったです。後日、聞いてくださった何名かの方から、感想をメールでいただきました。役に立ったようで何よりです。
 以下、聞いてくださった方の感想など


お昼ご飯


 秋山のセミナーを唐橋さんが聞いてくださったので、お礼を兼ねて秋山も聞こうと思ったのですが、最初からいると逆にプレッシャかなと思って、落ち着いたタイミングを見計らって再訪しようと思って、先にお昼ご飯にします。
 お昼は、山崎代表激推の笹寿司です。朝10時の開店に合わせ、そえさんにお願いしてデパ地下で調達してきて貰いました。
 お寿司を持ってスタッフの控室に行くと、文フリ東京代表の望月さんとスタッフの方々がいらっしゃったので、話をしながらぱくぱく食べていきます。鯖、鮭、鯛、鯖、鮭、鯛と代わる代わるに食べていくと、ぜんぜん飽きる気がしません。ひたすら食べていたら、望月代表に「秋山君、それだけあったらひとつくらいは分けたりしてくれるでしょう」と仰られるので、特に美味しかった鯖を差し上げました。後、スタッフの方に、鮭と鯛をひとつずつ。
 食事を終えたら、大急ぎでセミナールームに戻り、唐橋さんのセッションを拝聴します。
 唐橋さんのセッションも秋山の時と同じく、20名強でした。ただ、参加者の顔ぶれが、ほとんど異なっていました。「20人が2つのセッションを連続して聞いた」と「40人が、それぞれ異なるセッションを聞いた」は、大きな違いがあるように思います。

売り子

 14時くらいからは、そえさんと交換して、ずっとブースに座って売り子をしていました。
 ヒアリングした中では、金沢市内にお住まいの方、市外の方、福井から、富山から、大阪からお越しになった方が多かったように感じました。
 後は、小さいお子さんと一緒に見えられた親子連れの方も多かったですね。学生さんも多かったです。「俺はこっち買うから、お前、これ買えよ」みたいな会話が目の前で展開されて、とても微笑ましかったです。

買ったり貰ったりしたもの

遠野よあけ@打算とも名誉とも無縁なもの『悪くない場所RPG
script.『手書き作品アンソロジー (再)生』
市川憂人『横断歩道の眞夜』
柳川麻衣(痛覚)『きみとダンスを 百合詞華集』
仲西祐介『サブカルチャー文学体操 第一 ヴィリジアン≠緑』
森奈沖・栄樹『104 vol.1』

お疲れ様会


 16時半に閉会した後は、17時15分から同じ場所でお疲れ様会が開かれました。
 持ち寄った食べ物や飲み物を飲み食いしながら、半分、立食パーティみたいな感じで、楽しい時間を過ごすことが出来ました。と言っても、だいたい金沢の地ビールを飲み比べたり、地酒を飲み比べたり、刀剣乱舞の話をしたり……後は、文フリアフターでは恒例になっているインタビューをこの日もやって、恐れ多くも黒瀬珂瀾氏に話を伺ったりもしました。

帰路


 そろそろ名古屋に帰らなければ! と言うわけで、温泉玉GOさんの車に乗り込んで、くまぁとんさん、最上さんと一緒に帰路につきます。途中、iPhoneカルカソンヌを遊びました。負けました。

頒布状況


 最後に恒例の頒布状況を。
 着払いの荷物をまだ受け取っていないので、在庫との照らし合わせが出来ていませんが、今回もiPadの即売レジを用いて販売管理を行いました。
 青色の線が本を求めに来てくださった訪問人数、赤色の線が実際にお求めいただいた冊数、そして、緑色の線が販売額です。青色と赤色の線グラフは左側の軸を参照してください。
 グラフから見て取れることを下記にまとめました。
・出だしは好調、一人頭の購入冊数も多め。
・12時に落ち込むが14時にV字復活を遂げる。
・16時台の実績はゼロ。
 特徴的なのは、何と言っても12時台の冷え込みでしょうか。佐藤さんの話では、秋山と唐橋さんのセッション中は客足が控え目だったらしいので、その影響があったのかもしれません。後、14時から売上が急増しているのは、単に売り子が秋山に代わって、営業力を発揮したからかもしれません……。
 具体的な頒布冊数は下記の通りです。

『そえもの』12部
『ゆる本 Vol.22』7部
『山吹色外典』2部
『反理想郷にさよならを』2部
『幻視コレクション 想い焦がれる追憶の行方』1部
『ゆる本 Vol.21』1部
『異界再訪の扉と十三の不思議』1部
──以上26部

 上記の他に、委託分もあるので全体としては30部強の実績となります。
 絶対数としては、けして多くないですね。前回の東京実績は122部、大阪実績は69部だったので、数字的には、かなり苦戦を強いられたと言えます。ですが、まあ、講師を務めるという貴重な経験ができたので個人的には大満足です。

終わりに

 と言うわけで、第一回文学フリマ金沢でした。
 これ以上は無理! ってくらい、充実した時間を過ごすことができたように思います。第二回も楽しみですね。次回は古本屋巡りにも挑みたいところです。

関連エントリ

第3回「金澤盤遊倶楽部」レポート
 名古屋〜金沢は、こちらに書きました。