雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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雲上回廊から第21回「文学フリマ東京」出店のお知らせ(その1)

 こんにちは、雲上回廊秋山真琴です。
 11月23日(月祝)11:00-17:00東京流通センター 第二展示場にて、第二十一回文学フリマ東京が開催されますが、こちらにサークル名、雲上回廊として出店します。ブース番号はD-01,02です。1階の、入口目の前です。1階の、入口目の前です。大事なことなので二回、言いました。
 以下、詳細です。

はじめに、雲上回廊とは

 雲上回廊は秋山真琴が代表を務める、総合創作団体です。主な活動として文芸作品の発表の他、出版機能や編集機能の提供を行なっています。と書くと、多くの団体員がいるように見えますが、今も昔も代表一名だけの団体です。コーポレートメッセージとして「For everyone's tomorrow」を掲げています。
 文学フリマにおいては、秋山が執筆した作品の頒布と、秋山が編集や企画等で関わった作品の頒布を行なっています。」

頒布する本の紹介

【新刊】『迷迭香 第一巻 迷の章』600円
【新刊】『ゆる本 Vol.26』200円
【準新刊】『天神都市』700円
【準新刊】『大阪彷徨記』400円
【既刊】『幻視コレクション 失われた一葉の架空』800円
【既刊】『幻視コレクション 想い焦がれる追憶の行方』800円
【既刊】『幻視コレクション 終わりなき夢想の終焉』800円
【既刊】『幻視コレクション 語り継がれる物語の前夜』800円
【既刊】『7文字でつながる連作超短編を書こう! 2015』500円
【既刊】『世界再生の書物と一つの楽園』800円
【既刊】『反理想郷にさよならを』1000円
【既刊】『山吹色外典』1000円
【既刊】『てきとーの(す)べるせかい』800円
【既刊】『墨妖』1000円
【既刊】『そえもの 添田健一物語集』300円
【委託】『川底幻燈[4]』500円
【見本】『裸の女の肖像』在庫なし見本のみ
【見本】『異界再訪の扉と十三の不思議』在庫なし見本のみ
【その他】文学フリマガイドブック
【その他】ゆる本バックナンバー
【その他】フリーペーパー『ゆるふわ紙 Vol.6』
【その他】紙袋
【その他】寄稿作品

チラシ


 今回のチラシです。
 また、調子に乗って500部も刷ってしまいました。ブース前で配っていますので、是非、お持ち帰りいただければ幸いです。尚、これは裏面で、表面は新刊『迷迭香 第一巻 迷の章』の表紙、山下昇平さんの超美麗イラストです。

新刊について


 第二十一回文学フリマ東京あわせの新刊は『迷迭香 第一巻 迷の章』です。キャッチフレーズは「怪異VS司法!? 極上の武侠エンターテイメント開幕!」です。

 中国、北宋時代。京師(みやこ)開封(かいほう)にて、不正高官たちの連続怪死事件が発生。
 捜査に乗りだしたのは、公正な裁きから「包青天」と呼ばれる包拯(ほうじょう)配下の若き護衛官、展昭(てんしょう)。彼の前に美貌の女剣客、丁月華(ていげっか)と謎めいた童女の迷迭香(めいてつこう)があらわれ、物語は幕を開ける。
 頭脳明晰な法医官、四人の校尉、冥府の貴臣、不穏な動きを見せる善悪さだかならざる男女。多彩な人物たちが入り乱れるなか、事件は予測外の展開へと流れゆく。
 極上の武侠エンタテインメイント開幕!

http://unjyou.jimdo.com/%E8%BF%B7%E8%BF%AD%E9%A6%99-%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%B7%BB/

『迷迭香 第一巻 迷の章』は、累計200部突破の長編『墨妖』で人気を博した添田健一さんの最新作です。サブタイトルに「第一巻」とある通り、シリーズ物の第1巻となります。全3巻の予定で、すでに執筆は完了しており、2016年1月のCOMITIA 115にて第2巻を、2016年5月1日の第二十二回文学フリマ東京にて第3巻を発表予定です。
『迷迭香』は中国の古典小説『三侠五義』に現代日本風のアレンジを加えた翻案作品となります。添田さんらしい、やわらかでやさしい筆致で綴られており、あまり気負うことなく読んでいただけます。『三侠五義』は中国の清代に書かれた公案小説と武侠小説を組み合わせたもので、公案小説要素(公明正大なる裁きで、物事を正す)と武侠小説要素(義理人情に厚い武人が、悪人をこらしめる)を兼ね備えた作品です。
 第1巻時点では、あまり色濃くはありませんが怪奇幻想の要素も含んでおり、いわゆる超常現象と言いますか、奇妙な出来事が起こります。キャッチフレーズにもある通り、人智の及ばない怪異に対して、立ち向かうのは頭脳や武術に長けた人間たちであるというのが面白いところです。とてもリーダビリティが高く、ついつい一気に読んでしまうことでしょう。

 もうひとつの新刊は、雲上回廊がイベント毎に発行しているアンソロジーの最新号『ゆる本 Vol.26』です。キャッチフレーズは「気負わず、力まず、ゆるく生きるよ」

掲載作品:
黒川ひかげ「ぱるっぴんぐぴっつぁメニュー集 訳者あとがき」
佐多椋「その資格」
氷砂糖「まあこんな未来も」
添田健一「教えて子霞さん 〜『墨妖』質問箱」
秋山真琴「暗闇塔奇譚」

http://d.hatena.ne.jp/sinden/20151110/1447134225

 今回のテーマは「あとがき小説」と言うことで、一風変わった小説(?)が集まりました。巻頭の、黒川ひかげさんは、文フリ福岡で知り合った方です。
『ゆる本』は、肩の力を抜いて、ぐてっとした姿勢で読んでもらいたい本です。是非、気軽に手に取っていただければと思います。

準新刊について


 東京以外の地域で開催された文学フリマに新刊として発行し、文学フリマでは初めてとなる作品を、雲上回廊では準新刊と呼んでいます。まずは、10月に文フリ福岡で発表した『天神都市』、キャッチフレーズは「遥か未来の福岡は空の上にあった」

 それは大地がひとつだったときのこと。大気にはエーテルが満ち、人々は軌道式を用いずとも、魔法を扱うことができた。大地は東方、中央、西域に分断され、人々の行き来はなかった、災害に襲われ世界が滅びるまで(スターリストリィ)。
 天裂く塔を巡る三つの時代の物語。終わりから始まりへとさかさかまに辿る歴史の一幕(スカイ・スクレイパ)
 雲の上の研究室にて生活を送っている博士と機械式メイド。博士は優雅にコーヒーを楽しむ。上位の存在が見ているとも知らずに(スカイトスフィア)。
 怪奇幻想が好きな少女は、あるとき書店で不気味な表紙の本を買う。そこに書かれていたのはありえたかもしれないもうひとつの福岡だった(天神都市)。

http://unjyou.jimdo.com/%E5%A4%A9%E7%A5%9E%E9%83%BD%E5%B8%82/

 空をテーマとした短編集です。伊藤鳥子さんが責任編集の『絶対移動中』に寄稿した掌編「スカイ・スクレイパ」と「スカイトスフィア」に、書き下ろしの「スターリストリィ」と「天神都市」の計4編が収録されています。
 帯に「『世界再生の書物と一つの楽園』につながる歴史」と書きましたが、同作の前日譚的な要素も含んでいます。特に「どちらを先に読んでおいた方がいい」というのは、ありません。『天神都市』から入っていただいて、面白ければ『世界再生〜』というのもありですし、『世界再生〜』を読んでから、その過去を明かす『天神都市』を読んでいただいても良いかと思います。

 準新刊のもう片方は、9月の文フリ大阪で発表した『大阪彷徨記』、キャッチフレーズは「独り、大阪の地を彷徨する」です。

 この世界を破壊せんと目論んでいるアヤトキと、彼らによって作られた綻びを修復するアヤオリ。世界は人知れず争うふたつの勢力に挟まれて、危うい均衡を保っている。
……そう信じている男は、ある夜、未来からやってきたと自称する少女みくと出会う(生への供物)。
 男が出遭ってしまったのは最強のアヤトキだった。死を回避するために男は時を遡る(逆行世界の再生速度)。
 バーで耳にした、「死なない少女を殺してみようぜ」という魅力的な誘いに男はうっかり乗ってしまう(試みに殺してみる)。
 大阪を彷徨い歩きながら、男は生きる意味を自問する(大阪彷徨記)。

http://unjyou.jimdo.com/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%BD%B7%E5%BE%A8%E8%A8%98/

 ひとりの男を語り手にした連作短編集です。基本的に会話はなくて、ほぼ全文が独白みたいなもので、秋山作品にしては文学性が強い、と言えるかもしれません。表紙だけ見ると時代物みたいですが、舞台は現代です。表題作の「大阪彷徨記」において、主人公が現代の大阪をぶらぶらするのですが、風景の端々に大阪の昔の風景を幻視するので、こういう表紙にしてみました。
 以前に書いた『裸の女の肖像』が女性性をテーマにした作品ならば、本書は男性性をテーマとした作品で、なんとなく赤裸々な印象を受けるかもしれません。

既刊について

幻視コレクション 失われた一葉の架空

幻視コレクション 失われた一葉の架空

幻視コレクション 想い焦がれる追憶の行方

幻視コレクション 想い焦がれる追憶の行方

幻視コレクション 終わりなき夢想の終焉

幻視コレクション 終わりなき夢想の終焉

幻視コレクション 語り継がれる物語の前夜

幻視コレクション 語り継がれる物語の前夜

 既刊も多数取り揃えています。まずは『幻視コレクション』を紹介します。キャッチフレーズは「面白い物語を集めました」で、文学フリマに初めて来たけれど、何を買ってよいか分からない方に向けて、確実に楽しんでもらえるように編んだアンソロジーです。今のところ全4巻ですが、特に順番はないので、好きな巻を手に取っていただければと思います。一応、集まった作品を読んでからサブタイトルと表紙の色を決めているので、好きな色やサブタイトルで選んでいただいても良いかと思います。

『幻視コレクション 失われた一葉の架空』通称、幻コレ茶/架空編
はるかかなた「Burning with Desire」
佐多椋「XMS/eXperience Management System」
吉永動機「たしか、映画でこんな話があった」
言村律広「残った夏」
高村暦「invisible faces」

http://gencolle.jimdo.com/%E5%A4%B1%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E4%B8%80%E8%91%89%E3%81%AE%E6%9E%B6%E7%A9%BA-1/

『幻視コレクション 想い焦がれる追憶の行方』通称、幻コレ緑/追憶編
水池亘「お返しにはペンシルパズルを」
鳴原あきら「カインの神様」
渡邊利道「シャーロットに薔薇を」
泉由良「微笑みと微睡み」

http://gencolle.jimdo.com/%E6%83%B3%E3%81%84%E7%84%A6%E3%81%8C%E3%82%8C%E3%82%8B%E8%BF%BD%E6%86%B6%E3%81%AE%E8%A1%8C%E6%96%B9/

『幻視コレクション 終わりなき夢想の終焉』通称、幻コレ赤/夢想編
赤井都「柳の夢」
業平心「ROC」
仁司方「解放区」
深瀬駿「事務室の女王」

http://gencolle.jimdo.com/%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%AA%E3%81%8D%E5%A4%A2%E6%83%B3%E3%81%AE%E7%B5%82%E7%84%89/

『幻視コレクション 語り継がれる物語の前夜』通称、幻コレ青/前夜編
川獺右端「魔女を火あぶりにしないために」
猿川西瓜「私のマキナ」
添田健一「鳳翔太白山祈雨縁起」
空木春宵「Wish You Were Here」

http://gencolle.jimdo.com/%E8%AA%9E%E3%82%8A%E7%B6%99%E3%81%8C%E3%82%8C%E3%82%8B%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E5%89%8D%E5%A4%9C/

 どの巻も「この方ならば、絶対に面白い作品を書いてくださるに違いない」と思って声を掛けて、書いていただいています。いずれも甲乙つけがたいので、是非、実際に読んでみて「特にこの幻コレが面白い!」というのを見つけていただければと思います。
 ちなみに、幻コレ緑は在庫僅少で、増刷予定はないので、気になる方はお早めに。

7文字でつながる連作超短編を書こう! 2015

7文字でつながる連作超短編を書こう! 2015

 次いで紹介したいのは、今年の5月に新刊として発行した『7文字でつながる連作超短編を書こう! 2015』、キャッチフレーズは「ただの“リレー小説“と思われたら困ります」

 超短編とはおよそ五〇〇文字で紡がれるきわめて短い物語である。
 唯、短いからといって侮ってはいけない。短いからこそ、物語はとんでもなく飛躍する。
 一瞬で月まで行けるし、死者を蘇生し、世界を滅ぼすことだってできる。
 五〇〇文字しか紡げないからこそ、物語にどこまでも奥行きを持たせ、濃淡を鮮やかに描き出すことができる。
 超短編とは庭園のようなものだと思っている。庭園は自然のものが人工的に、閉じられた世界の中で設えられている。その美しさが一見何処までも続いているように見えて、その実その世界はその僅かな空間の中でしか成り立たない儚い存在。だからこそ際立つ。
 論より証拠。今回、五〇名にも及ぶ書き手に集って戴いた。万華鏡のようにめまぐるしく景色を変える庭園に、ぜひ一歩足を踏み入れて戴きたい。

http://unjyou.jimdo.com/7%E6%96%87%E5%AD%97%E3%81%A7%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%8B%E9%80%A3%E4%BD%9C%E8%B6%85%E7%9F%AD%E7%B7%A8%E3%82%92%E6%9B%B8%E3%81%93%E3%81%86-2015/

 自分で言うのもなんですが、面白い本だと思います。総勢50名の、50作を掲載しています。同人小説というくくりでは、なかなか面白い作品を見つけ出したり、好みの作家を探すのが大変ですが、そういった意味では本書は「入り口」になりえるのではと思っています。つまり、本書を読んでいただいて、良かった方の別の作品を探してみることができると思います。
 タイトルにある「7文字でつながる」というのは、ちょっと説明が難しいのですが、前後の作品で、ある連続した7文字だけが共通しています。実際に書いていただくときに、それまでの作品を読んでもらって、直前の作品から、任意の連続する7文字を受け継ぐかたちで作品を書いていただいています。作品同士のつながりは、その7文字だけですので、世界観はバラバラですし、登場人物も一致していません。ただ、作品の根底にあるテーマと言うか、雰囲気だけは、なんとなくつながっています。その曖昧な感じも含めて、楽しんでいただければ幸いです。

世界再生の書物と一つの楽園

世界再生の書物と一つの楽園

 ここからは、秋山真琴の作品を連続して紹介させてください。
 まずは『世界再生の書物と一つの楽園』です。キャッチフレーズは「西暦3300年、物的資源問題を解決した人類は、自らの量子化を済ませており、優雅で怠惰な、種としての余生を過ごすのみとなっていた」遠未来を舞台とした、ちょっと変わった学園物です。

 西暦3300年、物的資源問題を解決した人類は、自らの量子化を済ませており、優雅で怠惰な、種としての余生を過ごすのみとなっていた。
 荒廃した地球を見捨て、雲上都市へと逃げ去った人々は、しかし、孤独に苛まれ、地球全土を網羅する過去の遺産たるネットワーク上に、六つの学園からなる一つの楽園を構築した。
 これをRe:Worldと呼ぶ。
 仮想空間上の学園に転校してくる自身の情報を伏せた天界人の中に、記憶を持たない少年が現れたとき物語は始まる。
 くしくも眺望を司る華久楽大付属雅高等学校では、一年次の代表によるクラス対抗レクリエーションが始まろうとしているところだった。

http://unjyou.jimdo.com/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%86%8D%E7%94%9F%E3%81%AE%E6%9B%B8%E7%89%A9%E3%81%A8%E4%B8%80%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%A5%BD%E5%9C%92/

反理想郷にさよならを

反理想郷にさよならを

 次は『反理想郷にさよならを』、キャッチフレーズは「こんな世界から逃げ出してしまいたい? ようこそ、この本があなたの帰る場所です」。主に秋山真琴の初期作品を集めた短編集です。

 月に一度、その街の子どもたちは定期検診という名目で病院の地下に泊まらなくてはならない、謎めいたルールを持つせかいをめぐるSF(Boy meets World's End Girlfreind)
 恋人が本になった。眠り続ける彼の皮を剥ぎ、綴られた物語を読む女の幻想('Til Death Do Us Part)
 高知県徳島県の間にある秘境を訪ねる伝奇((I can't)Change the world)
 天狗や鬼、妖怪たちが集う星霜に一度の祭りを描いた怪奇(かむながらのみちはとわにつづく)
 1923年冬、架空のパリから、2023年、架空の新宿まで。時空を旅するシュルレアリストの冒険(その日、アンドレ・ブルトンは)
 他9編を収録した短編集。
 こんな世界から逃げ出してしまいたい? ようこそ、この本が、あなたの帰る場所です

http://unjyou.jimdo.com/%E5%8F%8D%E7%90%86%E6%83%B3%E9%83%B7%E3%81%AB%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%AA%E3%82%89%E3%82%92/

山吹色外典

山吹色外典

 次は『山吹色外典、キャッチフレーズは、ちょっと長いんですけれど食レポ×ラーメン×ドラゴン×天使×遠未来×ループ×ネトゲー×ボドゲ×吸血鬼×異世界×料理×偽史×作中作×年表×中二×ハッピーエンド=『パラレルワールドSFファンタジー』」です。とにかく秋山の好きなものを詰め込んだ短編集で、今のところの代表作と言っていいかなと思っています。
 秋山の腕前を一冊で見極めたいという方には、こちらがオススメです。これを楽しんでいただければ、他の作品も面白く読んでいただけると思います。

 世界から世界へ飛び跳ねるように旅する存在。渡り鳥ソーマ、傭兵ラビット、フリーター走馬小太郎。
 様々な名を持つ彼は、年代記にいずれの名も残さず、何もかもから解放されている。だが自由であることは、同時に孤独であることを意味する。
 歴史の表舞台に現れることはなく、物語の主役として語られることもない。そんな彼に敢えてスポットライトを当てた作品集。
 題名は、山吹色外典
 或る雲上人が記す、ありえたかもしれない旅の記録。いかなる世界からも拒絶され、
放浪を続けるしかなかった哀れな渡り鳥が、最愛の想い人と過ごす宿り木を見つけるという、ハッピーエンドの物語。

http://unjyou.jimdo.com/%E5%B1%B1%E5%90%B9%E8%89%B2%E5%A4%96%E5%85%B8/

てきとーの(す)べるせかい

てきとーの(す)べるせかい

 冒頭に、雲上回廊は出版機能や編集機能も提供していると書きましたが、この作品『てきとーの(す)べるせかい』は、その機能が発揮された作品です。著者は秋山ではなく、言村律広さん。『ゆる本』掲載作に書き下ろしを加えました。キャッチフレーズは「すこしふしぎで、かなり変な小説、一冊にまとめちゃいました」
 言村さんは、言葉遊びを好まれる方で、この作品は、まさにその結晶で、ある種、実験小説的な面もあるかと思います。同人誌ならではの変わった作品が読みたいという方は、是非、手に取ってみてください。在庫僅少ですので、是非、お早めに。

 ふたり姉弟の、弟は信介「姉ちゃん、この本なに?」と言う。
「オビびってんじゃないわよ」と言う姉が窓歌。
「びびってないし、そこ、お付けても丁寧になんないよ」
「あたしにはオビビッてきてるから、いいの」
 やけに自信満々な姉に「ちょオビみょう」という弟。
 そんなふたりが過ごす、てきとーの(す)べるせかい。

墨妖

墨妖

 言村さんに引き続き、こちらは添田健一さんの単著『墨妖』です。キャッチフレーズは「えっ、中国志怪小説ってこんなにポップなの!?」
 この作品は『幽』怪談文学賞に応募され、最終選考に残った作品です。ちょうど昨年の秋文フリで新刊として発表したのですが、その日に持ち込んだ50部が完売となり、西荻窪盛林堂書房さんにも協力いただき、1年間で200部以上を頒布しました。1000円という価格帯の同人誌で、この部数は、なかなか他に類を見ないように思います。文学フリマ史に残りうる話題作だと思いますので、未読の方は、是非。

 中国、北宋の京師(みやこ)、開封(かいほう)に邸宅を構える天下きっての詩人・書人の蘇東坡(そとうば)先生は、どうしようもない墨好きで、弟子やよそ様の名墨をちゃっかり奪ってばかり。
 そんな先生をこらしめるべく、若き女弟子の子霞(しか)は、その名墨をひとまず隠そうとする。ところが、その墨にはあやかし(墨妖)がとりついていたから、ますますややこしいことに。
 おそらく彼女にしか見えない、童女の姿にもなる不思議な墨妖と子霞はすぐに仲良くなってゆくが、果たしてこのあやかしの正体は一体?
 ガール・ミーツ・ガールなファンタジー。

http://unjyou.jimdo.com/%E5%A2%A8%E5%A6%96/

そえもの

そえもの

 添田さんの単著第2弾は、主に『ゆる本』掲載作を一冊にまとめた掌編集『そえも 添田健一物語集』です。キャッチフレーズは「小さな奇跡と小さな幸せ、添えておきました」
 タイトルは「添田の物語」の略称と「添え物」のダブルミーニングです。添田さんらしい、やわらかでほんわかとした物語ばかりなので、のんびりとした気持ちで楽しんでいただけると思います。

 サンダルごしに伝わってくる白砂の押し返してくる感触が小気味よい。いつもより風が強い。毛布を胸の前であわせる。砂浜に白い貝殻がひとつ転がっていた。先端の長い細い巻貝の貝殻。立ちどまる。拾おうかどうしようか迷って、拾わないことにする。でも、と呟く。明日の朝、またここへ来て、同じ場所に転がったままでいたら、コレクションに加えるべく持って帰ろう。口もとをほころばせる。(「潮風の家」より)
 すこしふしぎで、とても優しい物語。一冊にまとめました

委託について


 雲上回廊ではサークル出店されてない方の作品を委託で引き受けたりもしています。
 今回は『世界再生の書物と一つの楽園』や『山吹色外典』のイラストを描いていただき、現在はコミックガムで『龍宮町は海の底』という漫画を連載中の、宵町めめさんの同人誌『川底幻燈[4]』を頒布します。
 ちなみに、宵町めめさんが、月刊別冊ヤングチャンピオンで連載していた『コトコノコトノハ』は秋田書店から絶賛発売中です。

コトコノコトノハ(ヤングチャンピオン・コミックス)

コトコノコトノハ(ヤングチャンピオン・コミックス)

見本について

裸の女の肖像

裸の女の肖像

異界再訪の扉と十三の不思議

異界再訪の扉と十三の不思議

 残念ながら手持ちの在庫がなくなってしまい、増刷予定のない作品に関しては、見本として展示予定です。『裸の女の肖像』と『異界再訪の扉と十三の不思議』の2冊です。秋山の手元には、もうありませんが、架空ストアさんと密林社さんに卸した分は、まだ残っているので、完全になくなってしまう前に欲しい方は、通販で、是非。

その他


 秋山は雲上回廊の活動の他、文学フリマガイドブック編集委員会の編集長もやっています。今回、新刊として『文学フリマガイドブック 2015年秋(通算第8号)』を新刊として発表します。雲上回廊ブースで取り扱いの予定はありませんが、隣接配置の文学フリマガイドブック編集委員会(D-03,04)や、会場入口付近にある、事務局ブースで頒布していますので、是非、手に取っていただければと思います。200円です。


 頒布一覧に記載しませんでしたが『ゆる本』のバックナンバーも持参予定です。こちらは量が多いので、すべてはブース上に展示できないよう思います。バックナンバーが欲しい方は、お手数ですが売り子までお声がけいただけますでしょうか。テーブル下のダンボールが取り出します。
 打算とも名誉とも無縁なものの遠野よあけと、文フリ毎に発行していたフリーペーパー『ゆるふわ紙』ですが、今回は秋山が本業で忙しく、なしです。が、今までに作ったのは在庫がありますので持参予定です。欲しい方には無料で差し上げます。
 雲上回廊恒例の紙袋も用意します。雲上回廊で本を買ってくださった方、先着50名様に無料でお配りします。
 櫛木千尋さんが責任編集の『俳句と超短編』のvol.2に超短編を寄稿しました。ブース番号はウ-68です、俳句が好きな方、超短編が好きな方、是非、お求めください。

終わりに

 も、ものすごい縦に長いエントリになってしまいました……我ながら呆然としています。
 最後まで読んでくださった方には、厚く厚く御礼申し上げます。
 さて、最後に次回の予告について。来週を目処に、もう一回、告知予定です。と言っても今回で、告知に関しては、ほぼほぼすべて網羅できているので、残件はわずか2件です。
 ひとつは持ち込み部数について。これから在庫の棚卸しをして梱包するので、そこで確認します。
 もうひとつは「ゆる福袋」です。実は『ゆる本』のバックナンバーですが、けっこうな分量になってきています。雲上回廊は発行物も多いので、なかなかすべてをブース上に展開することもできず、このまま不良在庫になってしまうのも切ないので、まとめて買ってくださる方限定で、大幅お値引きをしようと考えています。詳細が決まったらお知らせしますので、今しばらくお待ちください。
 では、また来週!