雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

かつての本読みが選ぶ10冊

 毎年、その年に読んだ本でベストテンを選んでいましたが、ここ最近は、もうほんとに読んでなくてですね。時間があればグラブルを遊んでいますし、たまに読んでも同人の小説ばかりですね。
 でも、せっかく毎年やっていたので、今年だけやらないのもなんですし……と言うわけで、かつての本読みが、かろうじて読むことができた本の中から選んだ10冊です。どうぞ。

片瀬二郎『サムライ・ポテト』

サムライ・ポテト (NOVAコレクション)

サムライ・ポテト (NOVAコレクション)

 2015年のベストは、片瀬二郎の『NOVA』掲載作を中心としたSFの短編集ですかね。表題作の「サムライ・ポテト」が、とても好きです。作品ごとに方向性が異なり、多才さを感じさせますが、根底には叙情性があって、ほんわりあたたかな気分になれます。

ピエール・ルメートル『その女アレックス』

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

 数々ものランキングを席巻した話題作。一読して納得、傑作と名高いのも納得です。次から次へと、ジェットコースターもかくやと言わんばかりに繰り出される、予想の斜め上をゆく展開に、何度も驚かされました。極めて優れた犯罪小説であると同時に、極めて優れた警察小説でもあるなと感じました。

柴田勝家『ニルヤの島』

ニルヤの島

ニルヤの島

 伊藤計劃の正当なるフォロワーといった感のある現代的なSF。チェスを題材としたと思しきゲームを軸にした対話の編が特に好みで、言ってみれば、このパートだけで充分に楽しめました。

いとうせいこうノーライフキング

 読了後に『ドルアーガの塔』の4年後にして、ニフティサーブのサービス開始翌年、すなわち1988年発行としった感慨深くなりました。凄まじい先見性です。果たしてノーライフキングは何処へ行ったのか、語り継がれるべき作品ですね、これは。

三津田信三『山魔の如き嗤うもの』

山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)

山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)

 刀城言耶シリーズは、物語がどこに着地するのか判然としないもどかしさがありますよね。ミステリなのか、ホラーなのか読み終えるまで分からない、といったレベルのことを言っているわけではなく、もっと広いレンジで、どう展開していくのか、さっぱり読めないのです。未読の刀城言耶シリーズは、まだまだあるので、もう少し追っていきたいですね。

久住四季『星読島に星は流れた』

 久住四季の新作が読めるという喜び、楽しみ。電撃文庫から出していた作品とは、大きく装いを変えましたが、本質には久住四季らしさが残されており、なんだかほっとしました。終盤の怒涛の展開からの、余韻のあるエピローグが良いですね。

マデリン・アシュビー『vN』

vN

vN

 現代日本において好まれているSFからは、やや外れますけれど、たまには、こういうのも良いですね。様々なSFの系譜の延長線上にあるようでいて、展開自体は、わりと突飛で、追いかけるのが大変でした。でも、良い作品ですよ。

瀬那和章『好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く』

 三姉妹の物語。長女の物語だけで泣けてくる良い話なんですが、次女の物語は、次女の物語であると同時に、次女から見た長女の物語で、さらに三女の物語は、三女の物語であると同時に、三女から見た長女の物語と、三女から見た次女の物語で、この物語の多面性と言うか、多重構造に惚れました。素晴らしいです。

小山力也『古本屋ツアー・イン・ジャパン』

古本屋ツアー・イン・ジャパン

古本屋ツアー・イン・ジャパン

 小説ではなく、古本屋のレビューと言うか、エッセイに近い感じでしょうか。古本屋愛に溢れていて、この本を読むと、全国を練り歩き、その土地に根付いた古本屋から、その土地の息遣いを肌で感じたくなります。

江橋崇『花札

花札 (ものと人間の文化史)

花札 (ものと人間の文化史)

 これは傑作ですよ。序盤にある「花札の二百五十年の歴史を全面的に再検討し、百年を超える偏見の歴史像と対決しなければならない。この作業に一書が必要ならば私がそれにあたろうと思う」という一節が、グッと来すぎてやばいです。伝統ゲームは、そこから文化が感じられるのが良いですね。

終わりに

 と言うわけで、挙げてみたらなんとかそれっぽいベストテンになりましたね。
 今年は、ちょっと意識的に読書量を増やしたいところですね。