雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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リアル謎解きゲームが楽しくなってきた頃、何が楽しいのかについて

 謎解き歴2ヶ月の秋山です、こんにちは。
 謎解きを始めた先月時点ではSCRAPのヒミツキチ型リアル脱出ゲームに覚えた違和感と面白さの光に書いた通り「リアル謎解きゲームって微妙じゃない?」というのが正直な感想でした。
 しかしながら、リアル脱出ゲームという文化は、体感ではボードゲームよりも世間一般に浸透しているように思え、1時間3000円という、割高に思えるコストを支払ってでも脱出し続けるプレイヤも世の中にはいると聞きます。
 レセプタ(受容体)という言葉があります。たとえば、子どもの頃には不味いとしか感じられなかったワサビやビール、納豆や珍味の各種が、大人になるにつれ舌が発達すると美味しく感じるようになりますね。これは食に対するレセプタが成長したと言えます。小説やマンガ、映画や音楽、ゲームに対しても同様です。レセプタが発達すれば面白さが感じ取れるようになる、というわけです。
 と言うわけで「リアル謎解きゲームの面白さは、まだ、よく分からないけれど、多くのひとが面白いと言っているのだから、試しに続けてみる」という姿勢で、11月もいくつか遊んでみました。以下、実際に遊んだもの。

【周遊型】タカラッシュ制作「リアル宝探しトレジャーマップ ふる浜エリアで世界のお宝見つけ出せ!」
【周遊型】謎解きタウン制作「リアル謎解きゲーム in 丸の内 魔法にかけられた神秘の街」
【周遊型】NAZO X NAZO劇団制作「リアル謎解き迷宮ゲーム〜冒険者ギルドの試練〜」
【個室型】SCRAP制作「Escape from The RED ROOM」
【周遊型】SCRAP制作「地下謎への招待状2016」
【公演型】よだかのレコード制作「幽霊荘」
【個室型】SCRAP制作「かくれ鬼の家からの脱出」
【周遊型】UniBirth制作「本日、ZEN茶'feのお宝いただきます。」
【周遊型】cafeサニサニーピクニック制作「花のコースター」
【周遊型】cafeサニサニーピクニック制作「謎の箱」
【周遊型】cafeサニサニーピクニック制作「謎の手紙」
【周遊型】cafeサニサニーピクニック制作「謎の贈り物」
【ゲーム】SCRAP制作「超破壊計画からの脱出 第1話」
【ゲーム】SCRAP制作「超破壊計画からの脱出 第2話」
【ゲーム】SCRAP制作「一週間ゲーム 人狼村からの脱出」
【ゲーム】SCRAP制作「一週間ゲーム マーカスと謎の幽霊屋敷」
【ゲーム】COSMOS制作「山荘からの脱出」

 こんなところでしょうか。振り返ると、けっこう遊んでいますね。
 この他に、12月に入ってからですが、今日までに『時空研究所からの脱出』『鏡の街のヒミツ』『ヘルプミーヘルプミーヘルプミー』『謎めく時の神殿』『燃える密室』『サンタ姫を助け出せ!』『かまいたちの夜』『暗闇は何色か』『鏖金財宝殺人事件』『ジョーカー博士と浄化の秘石』『LONELY/COLONY』を遊んでいます。

で、いっぱいやってみて、どうだったの?

 結論から言うと、面白くなってきました
 正確に表現すると面白く感じる方法が分かってきました

制作者の意図に関心を持つ

 冒頭にレセプタに関して記しましたが、世の中に存在する大半のコンテンツは楽しまれるために存在します。制作者はコンテンツを通じて、触れるひとに楽しんでもらいたい、喜んでもらいたい、感動してもらいたいという想いを抱いているはずです。リアル謎解きゲームで言うなれば、すべての謎は解かれたがっているわけです
 であれば、その想いを汲もうとする姿勢が、面白さを受け取るうえで、非常に大切なポイントになります。制作者はプレイヤに対して、どのように謎を受け取ってもらいたがっているのか、どこがこの謎の核となるのか。制作者に対して関心を抱き、その意図するところを想像することで、その謎を面白く感じることができるはずです。

そのために大事なこと

 それは様式美……という言葉がふさわしいのでしょうか。それとも、定型文、あるいは構造。ちょっと、よいキーワードが思いつきませんが、まあ、リアル謎解きゲームに頻出する、ひとつのパターンを理解することです
 まず、全体的な流れを把握します。ゲームが始まると室内を探索してヒントを集めます。そのヒントを元に、複数の小謎を解いていきます。小謎を解き終えると、次のステップに進むことができます。次のステップでも探索や小謎があるかもしれませんし、中謎や大謎が始まるかもしれません。
 各プレイヤが個々に挑戦していく小謎に対して、中謎や大謎はプレイヤ全員で取り組む形になります。そして、それらは往々にして、小謎の中にヒントがあったり、小謎と同じ解き方が必要であったりします。
 多くのリアル謎解きゲームが、この流れを汲んでいるのは、これがゲームの難易度を高める上で、非常に有効だからでしょう。
 特殊な知識がなくとも、老若男女、誰でも楽しめるゲームをデザインしようとすると、小謎は小学生レベルでも解けるものが望ましいです。そして、積み木を使ってビルを建てるように、小謎を支えに中謎や大謎を作っていくのです。もっと言うと、中謎や大謎が、舞台装置や物語世界の背景とリンクしていると、その有機的な様を美しく思えるかもしれません。
 美しく。
 と、安易に書いてから思いましたが、もしかしたらリアル謎解きゲームは、ある種の芸術作品なのかもしれません。謎制作者が作り出した芸術を、いかに解体し、理解し、その出来の良さに気づくことができるかどうか。

チームへの貢献度

 リアル謎解きゲームを芸術作品として、それに触れるだけならば、別に参加などせずに解説だけ聞けばいいわけです。でも、リアル謎解きゲームが、映画や演劇のような見るだけのものと違うのは、探索や推理という過程を経て、自らが作品に関与することができることでしょう。
 映画や演劇を観ることを、受動的な体験だとは言いませんが、リアル謎解きゲームと比べると、軍配は後者でしょう。リアル謎解きゲームは、とても能動的です。何故なら、しっかり謎を解き、役割分担して、情報共有して、大謎に辿り着いて、それを解き明かさないと作品を愛できることができないのですから
 多くのリアル謎解きゲームは、謎の物量が多いです。1人や2人でも挑戦は可能ですが、1時間という時間ではあまりに足りず、4人〜10人で一致団結して取り掛からないと時間内の脱出は難解です。
 脱出できたにせよ、できなかったにせよ思うわけです。「あー、今日は、あの謎を迅速に解決して、チームに貢献できたなあ」とか「あの小謎が大謎のヒントになっていたのに、どうして思い出せなかったんだろう。悔しいなあ」とか。
 この貢献できたりできなかったりするところも含めて、楽しいですね。

現時点の結論

 公演型や個室型の、時間制限があって、チームで協力しなければならないリアル謎解きゲームは、とても楽しいですね。濃密な時間を過ごすことができ、1時間が一瞬で過ぎ去ることもしばしばです。
 でも、パズルだったりなぞなぞだったりする小謎を解いていくには、ある程度の地力が求められます。そのためには本やゲーム、周遊型が参考になることでしょう。特に周遊型は楽しく、リアル謎解きゲームらしい問題に着手できるので、勉強になります。
 ある程度、周遊型をこなして、傾向と対策ができるようになったら、公演型や個室型は、俄然、面白くなるように思います。その境地に辿り着くには、それなりの時間とお金という投資が必要になりますけれど……。

終わりに

 と言うわけで、謎解き歴2ヶ月の状態で、ここまでです。
 ほんとうは各ゲームの感想も書こうかと思ったのですが、長くなってしまったので今日はこのくらいで……ゲーム会のレポートもぜんぜん書けてないし、ヨーロッパ旅行の記事も書けてないし……うわーん、という感じです。