雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

脱出ゲームブック『十人の憂鬱な容疑者』クリアしました

 リアル脱出ゲームのSCRAPがリリースしている脱出ゲームブック第3弾『十人の憂鬱な容疑者』をクリアしました。同名のリアル脱出ゲームがありますが、内容はまったく異なるとのことです。

十人の憂鬱な容疑者 素敵なパーティ、死体がふたつ (脱出ゲームブック)

十人の憂鬱な容疑者 素敵なパーティ、死体がふたつ (脱出ゲームブック)

難しかった

 もうね、これに尽きます。
 めちゃくちゃ難しかったです。
 累計でどれだけの時間が掛かったも分かりませんが、仮にぶっ通しで遊んだとしても、1日では絶対に終わらせられないでしょう。

面白かった

 ものすごい時間が掛かったにも関わらず、完走することができたのは、やっぱり激烈に面白かったからであろうとも思います。
 タイトルから察せられる通り、登場人物は12名、その内の2名は物語が始まった時点で死んでおり、残りの10名が容疑者となります。
 読み手は、ジャンという青年の視点を借りて、探偵のカイルと共に、屋敷内を探索したり、登場人物に対して聞き込みを行って、捜査を進めることになるのですが、ゲームブック的にも謎解き的にも面白かったです。

ゲームブック的な面白さ

 根底にあるのは、いわゆる推理アドベンチャーです。
 古くは『ポートピア連続殺人事件』や『オホーツクに消ゆ』、『探偵神宮寺三郎』、最近だと『ダンガンロンパ』や『逆転裁判』を書籍の形にしたと言えば分かりやすいでしょうか。
 膨大とも言えるフラグがあり、屋敷を歩き回り、犯人が残した痕跡や証拠を見つけ、キャラクタたちに見せたりすることで新たな進展があります。
 特に時間経過というフラグ管理は面白く、大きな出来事があると時間が経過して、登場人物たちの居場所が変わったり、主人公を取り巻く環境が変わったりします。これによって平面的な物語に、時間という軸が加えられ、奥行きが生み出されています。

謎解きな面白さ

 謎解きという観点では、かなり難しい部類になります。
 正直、この本を読み始めた当初は「ゲームブックは好きだけど、リアル脱出ゲームは1回しか遊んだことがない」という状況だったので、いわゆる謎解きのイロハも分からず、小謎ひとつとっても苦戦しました。
 現在、秋山は100以上の謎解きを遊び済みですが、それでも折ったり重ねたり並べたり動かしたり、もう、ありとあらゆる手段で仕掛けられた謎の数々には、ほんとうに苦戦しました。歴戦のリアル脱出ゲームプレイヤでも、充分に歯応えを感じられるレベルです。

推理と謎解きの掛け算が面白い

 膨大なフラグを管理して、経過する時間に応じて物語が変化する中、様々な空間に隠されたヒントを拾い集め、その上で仕掛けられた謎を解かなければならない。中盤を過ぎたくらいから、


「もう、さっぱり分からない! 止めだ!!」


 と机の上に放り出して、ベッドに潜り込んで、しばらく悶々と考えている内に、自分の中でいろいろな情報がパズルのピースのように組み合わせられ、


「あれ? もしかして、あの部屋のあれを、あそこにああすれば、あの人物がああするだろうから、あの部屋であれを、あれできるのでは!?」


 と閃いたりして、思わず起き上がって明かりをつけて、再び本を開いてしまうということも何度もありました。

ヒント不在という不親切さ

Q. パズルが解けない。 答えはどこにあるの?
A. パズルや謎の解答・解説は本およびWebには掲載しておりません。解けるまであなたの頭脳を駆使してください。

http://www.rittor-music.co.jp/dgamebook/03/

 持ち帰り謎は、5秒考えて分からなければ、すぐにヒントを求める秋山ですが、これには、ほんとうに泣きたくなりました。
 これが、ただの謎解きだったら、最悪、諦めるという手段があるわけですが、この作品の場合、物語要素が強めです。途中で読むのを止めてしまったら、


「結局、犯人は誰だったのだろうか?」


 と、残りの一生、ずっと悩み続けることになります。
 そんなのは耐えられません。
 でも、謎は難しい。
 辛い……。
 なので、最後は執念でした。
 メタ解き、総当り、使えるものは何でも使い、ありとあらゆる手段を尽くして、なんとかクリアに辿り着いた次第です。

終わり

 ものすごい時間が掛かりましたが、最終的にはクリアできて、ほんとうに良かったです。
 難しいは難しいですけれど、コストパフォーマンスは抜群ですし、面白さも太鼓判を押します。歯応えのある謎解きにじっくりと腰を据えて取り掛かりたい、そんな方は絶対に楽しめます。