雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

優劣を競うのではなく、目的を共にして楽しみたい。そんな気持ちで選ぶボードゲーム十選

 こんにちは、秋山です。
 2010年くらいから「趣味はボードゲーム」と言えるくらいに遊び始めましたが、年々、趣味や嗜好が変化するのを感じます。最近は最適解によらない他プレイヤの行動によって、自分が不利益を被ると、モヤモヤを覚えることが増えてきました。
 具体的に書くと、3人で遊んでいるときに2位のプレイヤが自分の点数を増やすアクションでも、1位のプレイヤの点数を減らすアクションでもなく、3位のプレイヤの点数を減らすアクションを打つのを見ると「ええ〜っ!」と思ってしまいます。
 そういった思考の違いやインタラクションも、本来はボードゲームの魅力のひとつではあるのですが、以前ほど、そこに面白味を覚えられなくなってきたわけですね。
 その代わりと言っては何ですが、他プレイヤの気持ちや想いを汲み取ることに主眼が置かれているゲームや、確率を考えて最適解を積み重ねていくようなゲームが、今まで以上に面白く思えるようになってきました
 と言うわけで、前置きはこれくらいにして2016年に遊んだ254作のゲームの中からベストテンを選んでみました

ミステリウム


 2016年に遊んだ254作の中で、最も良かったゲーム、それは、これ『ミステリウム』です。
『ミステリウム』は、非対称協力型ゲームと呼ばれる、全プレイヤが目的を共にする協力型ゲームの一種です。プレイヤの目的は、何十年か前に殺害を犯した、おそるべき犯人を突き止めることです。その犯人は捜査の手を逃れて、今もどこかで悠々と暮らしています。
 果たして犯人は? 凶器は? そして犯行現場は? それを探ることがプレイヤの目的……なわけですが、なんと答えは幽霊役を務めるプレイヤの前に提示されています。従って、そのプレイヤが「犯人はこのひとで、凶器はこれで、犯行現場はここだよ」と言えば、五秒でゲームが終わる……なんてことはありません。そう、幽霊役のプレイヤは、幽霊であるがゆえに、他プレイヤと充分なコミュニケーションを交わすことができないのです
 幽霊にできること、それは幻視カードと呼ばれるあやしげなイラストの描かれたカードを、各プレイヤに渡して、犯行にまつわる情報をばくぜんと示唆することです。各プレイヤは幽霊から渡されたヒントを元に、犯人像を突き止めていきます。
 このゲームの面白いところは、幽霊役のプレイヤと屋敷に集まった霊能者役のプレイヤとで、充分なコミュニケーションができないところですね。幽霊役のプレイヤは「犯人は帽子を被ってる! だから、この帽子が描かれた幻視カードを渡そう!」と考えてカードを出しても、霊能者役のプレイヤは「イラストに十字架が含まれているから、もしかしてナースが犯人か?」なんて、トンチンカンな方向で推理を進めてしまったりすることがあるのです。
 とにかく大事なのは、相手を思い、気持ちを汲み取ることです。「幽霊役は、なにを考えて、このカードを出してきたのか」そして「霊能者役には、どのカードを出せば汲み取ってもらえるか」が面白いです
『ディクシット』が好きな方は、きっと楽しく遊べると思います。オススメです。

コードネーム


『コードネーム』も本質は『ミステリウム』と一緒ですね。スパイマスター役とスパイ役とに別れ、スパイマスターだけが持っている情報を、なんとかしてスパイ役に伝えるゲームです。
『ミステリウム』と比較すると、全体的にシンプルに作られており、繰り返し遊んだり、短時間でさくっと遊ぶのには、こちらの方が向いていると思います。2016年10月のエッセンシュピールで『コードネーム ピクチャー』が発売されましたが、こちらも……と言うか、こちらの方がプレイ回数は少ないですが、好みかもしれません。

クイズいいセン行きまSHOW! 恋愛編


 元々はカワサキファクトリーの川崎晋さんが2008年に作られたゲームです。正解がない質問に対して、もっとも平均的な数字を答えることができたプレイヤが勝つゲーム。そのお題カードが「現在28歳の女性。18歳の頃と比べて、恋人に求める条件はいくつ増減したでしょう?」や「○○さんにやってくる「最高のモテ期」。1年間で何人の異性から告白されるでしょう?」などの、恋愛をモチーフとしたお題に変えられたものが、これです。
 いや、もう、これが、抜群に盛り上がるんですよ。
 個々人の恋愛観と言うか、人生観が見えたりして、一回一回のラウンドが終わる度に、自然と会話が発生して、笑顔が絶えません
 他プレイヤと回答が一致したときにハートが貰えるというルールも良いですね。勝敗には一切、関係しませんがハートの数が多いと、試合には負けたけれど勝負には勝った気分になります。

タイムストーリーズ


 皆で盛り上がることができる系のゲームとして、続けて紹介したいのは、TRPG的な要素を持つ『タイムストーリーズ』です。
『丘の上の裏切り者の館』や『マンション・オブ・マッドネス』など、TRPG的な要素を持つゲームは、今までにも幾つかリリースされていましたが、これらは「繰り返し遊ぶことに耐えるデザイン」を重視するあまり、好きは好きだけれど、今ひとつ突き抜けるところがないように感じていました。その点『タイムストーリーズ』は潔く、シナリオはひとつしか用意されていません。一度、遊んでしまえば展開が分かってしまうので、一度しか遊ぶことができないゲームなわけです
 これはボードゲームのデザインとしては、けっこう思い切ったハンドルの切り方だと思います。同時に、一回限りのゲームであることに覚悟を決めているのか、ゲームの出来が、とても良いのですよね。シナリオの濃密さ、イラストの充実度、どれをとってもコストに見合うものです
 また、プレイヤは遥かな未来から、その時代に精神だけを飛ばし、事件解決に向けて介入しているという設定も好みです。失敗した場合、時間を巻き戻し、また最初からやり直すという、いわゆるループの構造なんて最高です。続編の「マーシーケース」も遊びましたが、こちらも抜群に面白かったですね。

パンデミック:レガシー シーズン1


『タイムストーリーズ』を取り上げたならば、こちらも取り上げざるをえないでしょう『パンデミック:レガシー』です。
 通常の『パンデミック』は、いわゆる危険な病原菌に侵されそうになる地球を救う協力型ゲームですが『パンデミック:レガシー』は、これを12ヶ月連続して遊ぶキャンペーン型のゲームです
 ネタバレになるので、あまり細かくは説明しませんが、月を経るごとに、どんどん危機的状況に陥っていくので、根底のシステムは変わっていないのに、毎回、新鮮な気持ちで遊ぶことができます。最初は1週間に1回の頻度で、12週間かけて遊ぼうかと思っていたのですが、いざ遊び始めてみると、毎回、けっこう驚きの展開で「来月はどんなイベントが待っているの!?」と気になってしまい、結局、3日か4日くらいで12ヶ月を駆け抜けてしまいました。
 使えなくなったカードは破り捨てたり、ボードにシールを張ったり、ボールペンで書き込んだりしていくので、一回しか遊べないという点においては『タイムストーリーズ』以上に徹底しています。もう、このコンポーネントでは遊べないなと思っていますが、今でも秋山は、このゲームをゲーム棚のけっこう良いところで保管しています。今でも、あの箱を見るだけで、夢中になって遊んだ日々のことを思い返します。いずれ記憶が薄れてきたら、新鮮な気持ちでまたゲームを買いなおして、1月から遊んでいきたいですね。

パンデミック


『パンデミック:レガシー』の次に紹介するのも何ですが『パンデミック』です。
 昨年まで、毎年のように「今年のベスト」として『カルカソンヌ』を紹介していましたが、とうとう不動の一位だった『カルカソンヌ』が落ちて、『パンデミック』に変わりました。
『パンデミック』……面白いですねえ。
 Z-Man Gamesが「パンデミック:サバイバル」と銘打って、全チーム同じカード構成で『パンデミック』を遊ぶ、いわゆるデュプリケーションの一種を大会形式で企画したのですが、とにかく、これが面白いです
 元々『パンデミック』というゲームは、ある程度、プレイヤが慣れてしまうと決まりきった展開になりがちで、熟練者と初心者が同じ卓につくと奉行問題が発生するとも言われていたのですが、相応の熟練者同士が揃うと、細部において異なる判断をすることがあって、その細かい判断の違いが、異なる結果を生み出すのを、とても面白く感じます。
 同時に、熟練プレイヤたちの結果が、毎回、同じにならないというのは、最適解がない、あるいは見えにくいゲームであるとも言え、『パンデミック』の奥深さを示唆します
「パンデミック:サバイバル」で日本予選を勝ち抜いた日本人プレイヤは、世界各国の強豪と戦い、世界4位という好成績を残しました。もし2017年も同大会が開催されるならば、次こそは優勝を狙いたいと思います。

ごいた


 2016年に『パンデミック』以上に最も繰り返し遊んだゲーム、それは石川県の伝統ゲーム『ごいた』です。
 雲上四季でも度々紹介しており、2015年のベストテンにも入れましたが、2016年は東京支部の一員となって飛行機に乗って、能登の大会に行くくらい遊びこみました。毎月の例会にも参加し、ごいただけを遊ぶごいた会にも足しげく通い、戦略を研究しました。これだけ遊べば、もうベストテンに入れざるをえないってくらいです
 多分、今年も昨年同様に、せっせと遊ぶと思います。

ファイナルタッチ


 そんな『ごいた』を、あるいは覆しうるポテンシャルを秘めたゲーム、それが年末に出会った、このゲーム『ファイナルタッチ』です。
 見た目が今ひとつ面白くなさそうなのと、致命的なエラッタがあるという点において、今ひとつ目立ってないように思うのですが、これは斜向いに座ったプレイヤとペアを組み、2対2で戦う系統のゲームとしては、かなりの傑作です
 何しろ最初に遊んだ瞬間、あまりの面白さに3回、続けて遊び、その上、iPhoneからすぐにポチってしまいました。最近は、なかなか立てる機会がないですが、めちゃくちゃ面白いので、もっと流行れ! と思います。

ブルームーン


 クニツィアの2人用カードゲームです。いわゆるTCG(トレーディングカードゲーム)のように、特殊能力を持ったカードを交互に出していく系統のゲームなのですが、意外にシンプルにまとまっていて好みです。
 この手のゲームですと『イノベーション』の2人プレイが最高に好みなのですが、あれは煩雑に過ぎて、プレイ時間も伸びがちなのですが、『ブルームーン』は適度にシンプルで、種族ごとの有利不利が面白いように絡み合っているのも悪くないです。今年も機会を見て遊んでいきたいですね

ザ・ゲーム


 最後は、協力型ゲームに戻って『ザ・ゲーム』です。エッセンシュピールで発表された『ザ・ゲーム エクストリーム』とどちらにしようか悩みましたが、やはり基本がいちばんと言うか、この、とても少ないルールの上にギリギリ立っているバランス感が、やっぱり好みです。多分、今年も繰り返し遊ぶと思います。

終わりに

 と言うわけで、2016年のベストテンでした。
 こうして振り返ってみると、圧倒的にパーティゲーム寄りの、ライトゲーマーの鑑みたいなラインナップです。まあ、ゆるゆると遊ぶのが好きになった。と言う感じですかね。
 今年も多くの面白いゲームに出会え、そして遊べますように。