雲上四季

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

フクノカミが島に齎す福がうすらこわい『ゴールデンゴールド』がとにかく面白い

 昨年のベスト漫画は『刻刻』だった秋山です、こんにちは。
 同じ作者の新作『ゴールデンゴールド』を読んだら、激烈に面白かったので、今日は、その話です。

ジャンルは不明です

『刻刻』で遺憾なく才能を発揮した堀尾省太が送る最新作。
 前作は時の止まった世界におけるサスペンスでしたが、この『ゴールデンゴールド』は、最新刊となる3巻まで読みましたが、今のところ、どのジャンルに属する、どういう作品なのか、さっぱり分かりません。
 架空の島が舞台ではありますが、時間軸的には現代なので、現代ファンタジーと言えるかもしれませんが、ただの現代ファンタジーに収まる何かではありません。
 敢えて言うと妖怪モノ、もしくは雰囲気ホラー、でしょうか?
 ちなみに冒頭に書いた通り『刻刻』は傑作中の傑作です。昨年に読んだ漫画では、いちばん良かったです。
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現代版『猿の手』

 突然ですが、ジェイコブスの怪奇小説『猿の手』ってご存知でしょうか。
 ざっと、説明すると、ある老夫婦が巻き込まれる悲劇的な物語です。持ち主の望みを叶える「猿の手」を手に入れたホワイト氏が、家のローンの完済のため200ポンドを願ったところ、息子が事故で死んでしまい、その代償として200ポンドを手に入れるのです。
 なんで『猿の手』の話をしたかと言うと、『ゴールデンゴールド』が、『猿の手』の前半部分を延々と、かつ丁寧に描いているような気がしているからです。
 ちなみに『猿の手』は色々な本で読めますが、東京創元社から出ているアンソロジー『怪奇小説傑作集 1 英米編 1』が名編纂でオススメです。ただ、怖いだけじゃない、ホラーと怪奇小説が明確に異なることを、読書体験として得られます。収録作の中では、ブルワー・リットン「幽霊屋敷」とW・F・ハーヴィー「炎天」が特に好きです。

『ゴールデンゴールド』のあらすじ

 Wikipediaのあらすじを引用させてください。

瀬戸内海の架空の島「寧島」に住む主人公の少女・早坂琉花。 ある日、琉花は海辺で謎の置物を拾う。置物を山中の祠に祀り祈りを捧げたところ、置物は動き出し意思ある生命体のように振る舞い始めた。それと同時に琉花の祖母が営む民宿や雑貨店が繁盛し始め、置物は「フクノカミ(福の神)」と名付けられた。しかしどこか禍々しく、怪しい動きで島民たちを操り始める「フクノカミ」を琉花たちは信用することが出来ない。
本作は、得体の知れない謎の生命体(?)フクノカミと、フクノカミの力により翻弄される田舎の人々の生活を描き出す。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ゴールデンゴールド

 物語としては、これ以上でもこれ以下でもないのですよね。
 今のところ、極端にグロテスクな事件が起きるわけでも、島民同士の殺し合いに発展するようなこともありません。むしろ、フクノカミに関わったひとたちは、いきなり儲かり始めたり、景気が良くなったりするので、良いこと尽くしです。
 でも、人間万事塞翁が馬、良いことがあれば悪いこともあるのが世の常です。
 いつまでも、良いことが続くことは、絶対にないわけです。
 でも、良いことが続いてしまっている。
 だから、怖い。
 分かりますかねー? この名状しがたい感じ。

読めば分かる

 なので、結論としては、こうなっちゃうんですよね。
 読んでください。
 秋山はKindleで読みましたが、1巻が100円以下で、ついポチってしまいました。
 そして、止まらなくなって2巻と3巻をポチるという罠にハマり、今は4巻を渇望しているところです。どうせなら、皆、ハマればいいと思います。なんてね。