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若者のやる気のありかを探る『モチベーション革命』を読んで納得

 1984年生まれの秋山です。少し前まで職場まで、お前たちの世代は何が楽しくて生きているのか分からんと言われていました。
 尾原和啓『モチベーション革命』を読んで、なるほど! と思ったので、今日は、なるほど! と思ったところを紹介させてください。

何もなかった時代と何もかもが揃っている時代

出世するため、お金のため、モテるため、美味しい食事やワインをたのしむために、人生まるまる仕事に捧げる上司を見て、「自分はこうはなれない」「自分はこうはなりたくない」と思ったことはないでしょうか。
やる気がないわけではないけれど、そんな上司のようなモチベーションは自分にはない。かといって、なんのためなら頑張れるか、分からない。
そんなことは思ったことはないですか。

 はいはーい! ありまーす!
 いえ、別にですよ、やる気がないわけじゃないんですよ。
 むしろ、秋山は、自分で言うのもなんですが、仕事が好きな方だと思いますよ。
 でも、テンションが上がらないときってあるじゃないですか。
 給料が貰えるとか、貰えないとか、そういう話じゃなくて、良い提案ができるかどうか、顧客に喜んでもらえるかどうか。やっぱり、そこですよね。Excelと格闘して、ただ長いだけの見積書とか、もう着手する前から辟易です。

アメリカ人心理学者のマーティン・セリグマンが唱えたように、人間の欲望というのは、「達成・快楽・意味合い・良好な人間関係・没頭」の5つからなります。
団塊世代以前は前の2つ、「達成」「快楽」を強く欲しました。
(中略)
しかし「乾けない世代」は、うしろの3つ、「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」を重視します。

 まさしく……まさしく、それですよ。
 出世したくないし、給料も、今のレベルで生活できて、適度に贅沢できれば充分なんですよ。
 いや、分かるわー……。

従来の働き方が通用しない世界へ

みなさんもお気づきのように、仕事を頑張ったぶんだけ結果が出て、社会全体が成長していく時代はとうに終わりました。
理由は2つあります。ひとつは、日本の人口が減少傾向にあり、かつてのような右肩上がりの経済成長を望めないこと。もうひとつは、社会のIT革命とグローバル化によって、あらゆる変化のスピードが速くなったこと。

 ポイントはインサイト(新しい視点)です。
 細かい仕事はロボットやAIに任せておいて、人間はビジネスの起点となる発想や着想の部分に集中するべきでしょう。だから、物事の価値は、発端にこそ宿るようになり、出来るひとは、次々と新しいビジネスを飛ばしていって、出来ないひとは、出来るひとが生み出した仕事をロボットに奪われて路頭に迷うと。
 なんてこったい。
 AIが発展していくことは、SF好きとしては迎合ですが、それで自分の職が奪われてしまうのは、ちょっと……ですよね。誰だってそうですよね。

どんな業種でも、この「偏愛」を突き詰めることが、生き残りをかけた分水嶺になる、ということです。

 必要最低限の生活が機械に奪われるならば、人間としての最後の牙城は、趣味嗜好、偏愛なのではないかという話。確かに、この領域になると、まだ人間でなければという感じですよね。

一見非効率に見える人間の「好き」を突き詰めて、その「好き」に共感する人が「ありがとう」とお金を払ってくれる”偏愛・嗜好性の循環”こそが、残っていくということです。
(中略)
自分の「好き」がない人間は価値を生み出しにくくなります。個人として、いかに自分の「好き」を見つけ、人生の幸せへと結びつけていくか。

 これは共感性が高いですね。
 特に、小説を書くときに思うのですが、昔は大多数が楽しめる小説を書こうと思っていたのですが、最近は、そういうぼんやりとしたところにボールを投げるのは止めて、明確に読者像を捉えるようにしています。
 読者像、と言うか自分ですけれど。
 自分が楽しめる小説です。
 果てしなく、どこまでも、限りなく、自分自身が最高に楽しめる、自分だけの小説です。
 こうすると、小説として、けっこう尖るんですけれど、世界にどれくらいいるかは分かりませんが、秋山と同じ感性の持ち主であれば好みジャストミートでしょうし、好みは違えど、偏執的な小説が好きなひとは、それはそれで楽しめるはずです。

異なる偏愛の持ち主を集めてチームを作ろう

自分の凹凸が何かを把握し、それをチームで共有していくメソッドを3つ、ご紹介していきます。

 本の中では、メソッドとして「ストレングス・ファインダー」を挙げていました。
 アメリカの統計調査会社が作った診断テストで、受けることによって34種類に分類された自分の強みが分かるみたいです。以下のサイトで受けられるみたいですが、けっこう高いですね……。
https://www.gallupstrengthscenter.com/Purchase/ja-JP/Index
 とりあえず無料で受けたい! という方は、m-gram診断というのも、あるらしいです。
https://m-gram.com
 一時期、Twitterでも流行りましたよね。秋山も昨年、やってました。


 少し間をおいたら、結果って変わるのかしら? そう思って、今、またやってみました。
 変わったところもあれば、変わらないところもあり。
 変わらないところは、より自分の本質なのかもしれません。

信頼度を深めるメソッド

クリエイティブなことをするうえで重要なのは、成功するかどうか分からなくても、いかに一歩を踏み出すかです。そして、誰かが飛び出して、失敗してしまったときにも、ちゃんと周りのメンバーが支えてくれること。仲間を信頼してチャレンジを続けていく組織こそ、イノベーションを起こしていくのです。

 挑戦する勇気。
 大事ですよね。
 でも、なかなか踏み出せない。
 不安だから。
 その不安を、いかにチームで解消していくか。いかに、チーム内で信頼し合うか。

このメソッドは2人で行います。まず、2人とも同じ方向を向いて前後に並びます。次に、前に立っている人は後ろに倒れてください。そして後ろに立っている人は、倒れてきた前の人を両手で支えてください。これを、交互に行うだけです。

 何これ、超革新的……!
 天才の発想ではないでしょうか。
 こんなにもシンプルですぐに出来るのに、その効果は、計り知れないほど深そうです!

よく周囲の人から「新規事業なんてリスクの高いことを、よくそんなにやっていられるね」と言われますが、むしろ僕は自分が失敗したとき、誰かがすっとサポートしてくれる心強さや、勇気を出そうとしている誰かの背中を支えられたときの喜びを味わえることが楽しくてプロジェクトに関わっているようなものです。
信頼関係を築いていくプロセスも、慣れると快感になっていくのです。

 この境地は、さすがにすごいですね。
 なかなか辿り着ける気はしないですが、このレベルにまで精神を持ってこれて、メンバーも増えれば、新規事業とか楽しくって仕方がなさそうだとは思います。

他人に迷惑を掛けていくスタイル

 その他、面白い話がけっこうありました。
 月の勤務時間は100時間、人間の紹介料は取らない、キャリアの始まりは議事録係、ソーラーバッグ、自立とは依存先を増やすこと、エトセトラエトセトラ。
 中でも抜群に面白かったのは、迷惑を掛けるという考え方。

インドでは日本の反対で、親は子に対して「あなたは誰かに迷惑をかけて生きていかなければならないのだから、他人の迷惑も受け入れてあげなさい」と言うそうです。
では日本は昔から「他人に迷惑をかけてはいけない文化」だったのでしょうか?
昔の日本人は、長屋という細長い住宅に何世帯も済み、何でも分け合って生活してきました。元々「おたがいさま」の国民なのです。

 この迷惑という概念は、日本を息苦しくしている文化のひとつだと、前々から思い続けていたことを思い出しました。てっきり国民性だと思ったのですが、わりと最近になって生まれた文化だったのですね。
 こういうのって多いですよね。
 中国人が爆買いしてホテルを荒らす……って、日本人も同じことを海外でしてきたじゃないの? そして、その世代は、今でも電車内で足を広げて座ったりとか……。
 まあ、そういう話がしたいわけではなく。
 迷惑を掛けざるをえないのであれば、むしろ掛けていって、そして他人の迷惑も受け入れていく。そんなスタイルで生きていきたいなと感じました。

やっぱり気になるソーラーバッグ

 さらりと流そうと思いましたが、ソーラーバッグ気になりますね!
 調べてみたら、いろいろあるみたいです。

 バッグで思い出しましたが、イスパックも気になってるんですよね。ガジェット感のあるものが好きなんですよー。
[イスパック] イスパックHQ IS-HQ001 ブラック

[イスパック] イスパックHQ IS-HQ001 ブラック

終わりに

 と言うわけで『モチベーション革命』のなるほど! と思ったところ紹介、でした。
 そもそも、どうしてこの本を読もうと思ったかというと、帯にHIKAKINと落合陽一の名前があったからですね。まあ、HIKAKINは良いとして……と言うか、HIKAKINと落合陽一の名前が並ぶところにピンと来るものを覚えました。多分、落合陽一だけで充分に興味を覚えたと思うのですが、そこにHIKAKINが入ることによって「えっ、落合陽一と……HIKAKIN!!???」みたいな。
 ここらへんは編集者の腕の見せ所ですよね。まんまと引っかかってしまいました。
 でも、良い本だったので、引っかかって良かったです。
 最後になりますが、引用した箇所を読んで少しでも共感された方、実際に読むと共感の嵐だと思いますよ。オススメです。

【追記】2月10日

 ソーラーバッグについて、著者本人から、直々にコメントいただきました。ますます欲しくなってしまいます。