雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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演劇を見て役者に話しかけ推理する『作家Qと解答者Aの不思議な関係』は今年ベスト級のイベントでした

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 最初から最後まで、最高の時間を過ごしました。
 と言うわけで、すゞひ企画さんの『作家Qと解答者Aの不思議な関係』初回公演に参加してきたので、その感想です。ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。
 まだ、チケットが残っている回があるので、終わってしまう前に絶対に参加するべきです。

あらすじ

孤高のクイズ作家・玉藻善一郎。


彼の主催するクイズイベントが、
新宿歌舞伎町に新たに完成した世界一謎があるテーマパーク「東京ミステリーサーカス」で開催される。


解答者として招かれたのは、
何を考えているのかわからないゲームディレクター、
嫌味なことばかり言う絵本作家、
いつも不機嫌そうな女優など、
クセの強い人物ばかり。


どうやら、このイベントはどこかおかしい――


そんなことを考え始めたころ、
突如として、会場中に悲鳴が響き渡る。


密室にいきなり出現した遺体。
目の前で起こった凄惨な殺人事件。


犯人は?トリックは?
あなたは、真相に辿り着くことができるのか。


いま、その奇妙で不思議な関係を目撃する。

https://peraichi.com/landing_pages/view/sakkaqandkaitoushaa

概要

 まず、いわゆるリアル謎解きゲームではありません
 演劇×体験型ミステリーと銘打たれていますが、体験型リアルイベントに、演劇要素とミステリ要素を加えたもの、となります。
 公式には下記の通り説明があります。

事件は、あなたのすぐ目の前で起こります。
参加者自身が探偵となり、容疑者の証言、証拠品、現場検証などから殺人事件の犯人とトリックを暴くことを目的とした観客参加型の推理ゲームイベント。
極上のミステリーを用意して、お待ちしております。

 似ているイベントとして、イーピン企画さんのミステリーナイトが挙げられますが、あちらが半日かけて演劇を見て、捜査して、演劇を見て、ざっと3万円と高額であるのに対し、すゞひ企画さんのそれは3時間で完結して、5000円という感じです。また、イーピン企画さんのは、演劇パートと捜査パートがわりと離れていますが、すゞひ企画さんの場合、捜査パートにおいて実際に役者さんに聞き込みをするので、巻き込まれ度というか介入度が高めです。
 体験型という観点では、WAR→Pにも近しいです。あちらも、実際に会場内を歩き回って役者さんに話しかけるという仕組みで、1時間半で4000円ほどです。
 どちらにせよ、上述の通り、いわゆるリアル謎解きゲームではありません。解くべきは謎ではなく、目に見える物語の向こう側にある隠された真実、そして登場人物たちの心の機微です

謎解きとミステリの違い

 もう少し、続けさせてください。
 リアル謎解きゲームにおいて求められる能力は、たとえば法則を見抜くちからだと思います。
 たとえば、これ、

△△△△は?

 これだけだと意味不明ですよね?
「多分あれかな~?」という答えは思いつくかもしれませんが、その根拠がありませんし、明確に、たったひとつの答えに限定できません。
 けれど、

○○がまる、□□□がしかくのとき、△△△△は?

 このような問題であれば明確です。
 問題文の前半分が成立するとき、後ろ半分を考えればよいので。
 これが、つまり、法則を見抜くちからです。
 けれど、ミステリゲームにおいて求められる能力は、少し異なります。原因から結果を推理するちから、結果から原因を推理するちから、そして原因と結果を見てその中間を推理するちからです
 具体的に言うと、こんな感じ。

 銭湯で殺人事件が発生した。被害者は鋭い刃物で胸を一突きされた。しかし、凶器が発見できない。凶器はどこに消えた?

 まあ、何ということはありません。凶器は、尖らせた氷ですよね。殺害の後、犯人は、氷を浴槽に落としたわけです。
 このように情報が部分的に提示され、その前後になにが起こったかを想像して推理する。ミステリゲームに求められるのは推理力、なわけです。

虚実が混じり合う感覚

 そろそろ『作家Qと解答者Aの不思議な関係』の話をしましょう。
 参加者は、東京ミステリーサーカスで開催されるクイズイベントを観戦に来たという設定です。壇上では役者さんたちが登壇し、クイズに興じているのを見ます。そうこうしている内に殺人事件が発生するので、即席の探偵として、容疑者=役者に話しかけ、その証言から食い違いを探したり、現場検証をして、犯人が残した痕跡から、そこでどのようなトリックが用いられたかを推理することになります。
 このリアル感と言うか、物語に入っていく感じは、他のイベントにはないものです
 ほんとうに、探偵になったような気分で推理できるわけです。
 しかし。
 しかしですよ。
 すゞひ企画さんの面白さの真髄は、ここではありません
 犯人が誰で、凶器が何で、トリックはどういったものなのか。そんな程度のものではないのです
 では、何なのか?
 すゞひ企画さんの公演を、この作品を傑作たらしめているものは何なのか?
 そればかりは、こう言うしかありません。


どうぞ、あなたの目で確かめてください。


終わりに

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 題名にも記しましたが、今年ベスト級の作品でした。
 そして、他のいかなるイベントでも、同等の楽しさ、感動は味わえないことでしょう。独自性がある、どころか唯一である。と断言しても良いかもしれません。


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 最後にちょっとだけ自慢を。
 すゞひ企画さんは、各チームの推理結果を得点化し、表彰してくれますが、今回、見事に1位になり、記念に役者さんのサイン入り色紙をいただきました。過去、2回の公演において、入賞することができず、壇上で色紙を貰うチームを、羨ましく眺めていましたが、今回はメンバーにも恵まれ、見事、1位に輝くことができました。
 ほんとうに嬉しく感動的です。

ストーリーが良かった!

確かにね。最後、泣きそうだったよ。隣のチームの方が泣いてるの見て堪えられたけれど

プロの役者さんの演技が間近で見られるのもいいよね

早めに行って、最前列に通して貰えて恵まれたね。でも、役者さんも縦横無尽に動いていて、後ろのテーブルのひとも間近で見られる瞬間あったよね

あるある。それに、ボリュームも盛りだくさんだった! 3時間とは思えなかったよ

難易度はどうだった?

難易度? 難易度は、そうね、我々、3回目だからね。難しいは難しいよね。でも、まったく分からないってことはなかった

ある種の傾向と対策みたいなところはあったよね

慣れてないひとは戸惑うと思う。同卓した方も、最初、なにをすれば分からないみたいだったよね。紙に向かって謎を解くって言うより、役者さんと向かい合うって感じだよね。って言うか、捜査だから現場百遍だよ! 足で稼ぐだよ! リアル捜査ゲームよりリアル捜査ゲームだよ!!

確かに、せっせと聞き込みしてたよね。ぼくは、途中から情報を整理して、欲しい情報があったら取りに行ってもらってたかも

今回は情報を整理する紙があったのが良かったよね、画期的だった

あれは良かった! もっとくださいとお願いしにいったもの

クリップボードを持っていかなかったのは失敗だったね。マイメモ帳も持っていけば良かった。捜査手帳だよ!

次も、がんばろう!

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 過去の公演にも参加済みで、それらの感想も書いていますので、よろしければどうぞ。