雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

謎解きや推理、物語体験のあるゲームがドイツ市場で人気


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 ヨーロッパ旅行記の3回目にして、いよいよエッセンシュピール2018に関してです。
 今年の滞在は、極めて短く、慌ただしく、駆け抜けるようなエッセンでしたが、そんな中で見えたものをご紹介差し上げます。題して、謎解きや推理、物語体験のあるゲームがドイツ市場で人気、です。

ここ数年の傾向をおさらい

 ファンタジー世界を旅する冒険者となって、様々な伝説を生み出していく協力型ボードゲーム『アンドールの伝説』が2013年ドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞。
 タイム機関のエージェントとなって、時空崩壊の元となるほころびを修復することを目的とする協力型ボードゲーム『T.I.M.Eストーリーズ』が2017年ドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネートされ。
 様々な謎や暗号を解き明かし、リアル謎解きゲームを疑似体験できる『イグジット』シリーズが2017年ドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞。
 その他にも2012年に『マイス&ミスティクス』、2015年に『パンデミック レガシー:シーズン1』と『ワトソン&ホームズ』、2017年に『アンロック!』と『セーフハウス』等々。
 枚挙にいとまがありませんが、ここ数年、物語要素がゲームの中核をなすゲームが増えています
 特徴としては、物語を楽しむ、あるいは謎を楽しむという性質上、1回しか遊ぶことができないという点が、従来のボードゲームとは大きく異なります

エッセンシュピール2018で見かけたゲームたち

EXIT(イグジット)シリーズ

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 まずは、2017年ドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞し、ドイツの謎解きゲーム界隈においては、間違いなくナンバーワンであろうKOSMOS社の『EXIT(イグジット)』から。
 シリーズ第1弾は2016年発表ですが、凄まじいペースでシリーズ作が増えています。


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 昨年のエッセンシュピール2017では、ボードゲーム同様に箱に入った形式から飛び出してゲームブックがリリースされましたが、今年のエッセンシュピール2018では子ども向けの作品が新作としてリリースされました。
 国内ではグループSNEが積極的に取り組んでおり、日本語版が続々と発表されています。

Escape Room Das Spielシリーズ

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 続いては、Noris社の『Escape Room Das Spiel』シリーズ。
 ボードゲームの老舗であるKOSMOS社の『EXIT』が、木や紙といったボードゲームらしい部材にこだわっているのに対し、こちらは基本セットにカウントダウン機能つきのタイマーが同梱され、シリーズ作品にはVRの技術を含んだものもあったり、現代的です。
 秋山が知る限り、国内流通はほとんどされていません。
 個人的には追いたいところですが、ドイツ語版しか存在せず、デザインが凝っていることもありGoogle翻訳が通用しないケースも多く、諦めてしまっています。

DECKSCAPEシリーズ

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 こちらはABACUS SPIELE社の『DECKSCAPE(デクスケープ)』シリーズ。
 アバカスシュピールは、アミーゴと同じく小箱に強いボードゲームパブリッシャーという印象ですが、おそらくはその性質を活かしたカードゲーム型の謎解きゲームです。
 箱を開けてカードを取り出したら、すぐに遊び始められます。ペンやハサミなど、他に必要なものはまったくなく、コンポーネント破壊も一切ありません。わずか60枚のカードに、コンパクトにまとまっていて、小箱の遊びやすさをも再現しています。
 国内では、名古屋のゲームストア・バネストさんが積極的に日本語版をリリースされていらっしゃいます。

Escape Tales: The Awakening

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 エッセンシュピール2018の新作です、『Escape Tales: The Awakening』
 プレイヤはサムという男性を演じ、昏睡状態に陥った娘を目覚めさせることを目的とします。マークというかつて昏睡状態に陥った息子を救ったことがある男性と出会い、見た目の恐ろしい本を渡されるところから物語は始まります。
 なんとなくクトゥルフ感のあるパッケージで、面白そうだとは思ったのですが試遊卓を覗き込んでみたところ「次は○○番を読むみたい!」と言い合いながら、ドイツ語がびっしり書かれた本の、該当箇所を探しているシーンを見てしまい「ああ、これは無理だ」と、そっと立ち去りました。
 ゲームとして時間制限も設けられておらず、Talesというタイトルもある通り、どちらかと言うとゲームブックに近しい印象を受けました。

休憩~発見できなかったブース

『アンロック!』シリーズは、発見できませんでした。
 続々とシリーズは発表されていますし、国内ですとホビージャパンから日本語版もどんどん出ているので勢いはあるはずですが……どこかにありましたでしょうか?
『Escape the Room』シリーズも同様に見つけられませんでした。
 こちらはBGGを見ても、昨年のシリーズ2作目が最後なので、もしかしたら撤退したのかもしれません。
 また、昨年まではTeam Escapeをはじめ、リアル謎解きゲーム団体が出展していて、ブース内で遊べるリアル謎解きゲームを提供していましたが、今年は見掛けませんでした。
 KOSMOSやNoris、Abacusのような体力のあるパブリッシャーは、シリーズを続けられるのかもしれませんが、そうでない弱小企業は撤退を強いられているのかもしれません。
 背景として、謎解きという性質が持つ、得手不得手があるかもしれません。ストーリーを読んで推理することは、一定の国語力があれば誰でも遊べますが、謎解きとなると、解けないひとはまったく解けず、プレイヤを選んでしまいますからね。

Chronicles of Crime

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 ここからは推理系です。
 まずは『Crime(クライム)』シリーズから。
 こちらは警察となって事件を捜査するゲームですが、犯行現場、警察署などの場所カード、容疑者や目撃者などの人物カード、凶器や証拠品などのアイテムカード、すべてのカードにQRコードがついています。このQRコードを、アプリで読み取ることによって物語が進むという、デジタル感のあるアナログゲームです。
 どうやらQRコードを読み込ませる順番も重要であるらしく、たとえば現場に残された謎のロープを読み込ませてから、次に目撃者を読み込ませると「なに、そのロープ? 私が事件を目撃したとき、そんなロープはなかったわよ」みたいな新たな証言が得られる様子です。
 非常に面白そうだと感じたのですが、訳さなければならないテキスト量が半端なさそうなので、泣く泣く断念。『アンロック!』の日本語版を出してくれたホビージャパンに期待します。


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 ちなみに、既に拡張も発売されており、それらと基本を組み合わせると第2、第3の事件が捜査できるようになる様子です。
 拡張にはVRの要素を含むものもあるらしく、メガネとスマホを組み合わせることで事件現場を仮想的に捜査できるみたいです。

Detective: A Modern Crime Board Game

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 こちらは探偵となって、5種類の事件を追う1人~5人用の推理ゲーム『Detective』です。
 各プレイヤは1キャラクタを担当するので、5人で遊ぶときは5人のキャラクタ全員を捜査することになりますが、4人以下で遊ぶときは、選ばれなかったキャラクタがNPCとしてプレイヤを手助けしてくれるみたいです。
 アナログな見た目ですが、実際に事件を解決に導くためには、インターネットで検索しなければならなかったり現代的な要素も含みます。
『Crime』と同じく、気にはなったのですが、こちらもテキスト量が膨大で取り組める気がしなかったので断念。いずれかの会社から日本語版がリリースされることを願うばかりです。

T.I.M.E Stories: Brotherhood of the Coast(海の兄弟)

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 こちらは『T.I.M.Eストーリーズ』の7つ目の拡張。
 17世紀のカリブ海を舞台としたシナリオです。既に、このシナリオの前日譚にあたる第6拡張の日本語版は、ホビージャパンより『サント・トマス・デ・アキノ』というタイトルでリリースされているので、こちらも確実に日本語版がリリースされることでしょう。

Die Legenden von Andor: Die verschollenen Legenden

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『アンドールの伝説』の最新拡張は、縦長の箱でした。
 計3つの追加シナリオが収録されている様子です。

Holding On: The Troubled Life of Billy Kerr

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 最後は一風変わったゲームをご紹介『Holding On』という協力型ボードゲームです。
 プレイヤは病院で勤務するスタッフです。物語は、ある男性患者が運び込まれたところから始まります。ゲーム開始時点、プレイヤが知っていることは、男がビリーという名前で、今年で60歳になり、そして余命数日であることだけです。
 プレイヤはビリーを看病し、手当てを行う過程から彼の信頼を得て、彼の過去を知り、彼が過去に残した3つの後悔を突き止めます。果たしてビリーの人生がどういったものだったのか、彼がどのような最期を迎えることになるのか。プレイヤは10個のシナリオを経て、彼の物語を体験することになります……。
 10のシナリオに対して、公式はreplayableと書いてありますが、ゲームの概要から察するに「途中でビリーが死んじゃったら、もう1回、シナリオをやり直せるよ!」みたいなニュアンスだと捉えています。
 公式が発表している情報から、10のシナリオの中身は、あまりうかがい知れませんでしたが、現地でシナリオカードをひょいとめくってみたら、そこそこのテキスト量が書かれていて、ややげんなりしましたが、この魅力的に過ぎるストーリーを前に「きっと、いずれかの会社が日本語版を出してくれるであろう」と願うことはできませんでした。今、買わないでどうするんだ! そう覚悟を決めて購入しました。
 テキスト量が多いので、いつプレイして、いつ感想を書けるかは分かりませんが、どうぞ気長にお待ちください。

終わりに

 と言うわけで、エッセンシュピール2018で見つけたゲームの内、物語体験に重きを置いたゲームを紹介しました。書いているうちに気が付きましたが、シリーズ物が多いですね。
 謎解きもそうですけれど、特に推理系は、基本となるルールさえ出来てしまえば、拡張シナリオは出しやすいのかもしれません。
 次回はどうしましょう、日本人デザイナのゲームをまとめてみましょうかね。お楽しみに!