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その一瞬のために1時間を駆け抜ける『さよなら、僕らのマジックアワー』の感想

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 東京ミステリーサーカスで始まった、SCRAPの謎解き史に残るかもしれない傑作リアル脱出ゲーム『さよなら、僕らのマジックアワー』に参加してきました。そして無事に成功しました……!
 期待を胸に抱いて参加してきましたが、軽々と上をゆかれたので、どれくらい素晴らしい公演だったか、少しレポートさせていただきます。
 尚、ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。

概要

開催期間:2018年11月16日(金)~2019年2月24日(日)
開催場所:東京ミステリーサーカス(新宿)


 地下のヒミツキチラボ(大ホール)で開催される、1チーム4名のいわゆるホール型の謎解きです。
 メンバーを4人集めからグループチケットを取ってもいいですし、1人や2人で前売り券や当日券を取って、現地でスタッフの案内を受けて、初対面の方とチームを組むこともできます。後者は気後れするかもしれませんが、秋山の体感ですと、だいたい半分くらいの方がソロ参加か2人組参加です。
 公式でチケットを抑えたら、後は当日、現地に行くだけです。


 知っているひとはご存知『君は明日へと消えていった』や『忘れられた研究室からの脱出』などの物語性が強く「泣ける謎解き」に定評のある、東京ミステリーサーカス総支配人のきださおりさんがコンテンツディレクターを務めています。
 個人的には『忘れられた研究室からの脱出』が忘れられない傑作中の傑作でしたし、昨年末の東京ミステリーサーカス開店時の看板公演だった『沈みゆく豪華客船からの脱出』は、2017年のベストだと思っているので、もう、きださおりさんの最新作、しかも青春物と知って、期待絶大でした。
 と同時に、謎解きイベントというのは、往々にして期待して参加するとあんまり満足できず、期待せずに参加したときの方が楽しかったりするので、期待したいけれど、あんまり期待しないようにするという複雑な感情を胸に臨んだのですが……、
 完全なる泣ける傑作公演だったので、まったくの杞憂でした!!

ストーリー

あなたは映画部に所属する、高校3年生。
5人だけの小さな映画部で高校生活最後のシネマコンクールに出品する作品を力を合わせて制作してきた。
映画の制作も大詰め。いよいよ残るはラストシーンの撮影のみ…
そんな大切な撮影の日、映画の主演を務めた後輩の少女”はづき”が突然姿を消した。


「先輩、ごめんなさい。私はこれ以上、ここにいることができません―」


彼女の痕跡は、まるで初めからそこにいなかったようにすべて消えてしまった。
このままでは撮影はおろか、コンクールへの出品も出来ない。
何故、彼女は姿を消したのか?
追いかけたその先には、意外な真実が待ち構えていた。
目が眩むようなマジックアワーの空の下で繰り広げられるあなたと仲間たちが主役の、青く切ない物語。
あなたは自分の力で、彼女の真実にたどり着きラストシーンを撮影することが、出来るだろうか?

https://mysterycircus.jp/bokumaji/

 プレイヤは藤山高校という架空の学校の3年生となります。
 同じチームの3人は、映画部の仲間。ほんとうは5人目の部員として「はづき」という少女がいるのですが、ストーリーにある通り彼女は失踪しています。
 プレイヤは彼女の残した証拠を追い、その「真実」に辿りつき、映画のラストシーン撮影を目指すことになります。

オープニングが良い

 まずね、オープニング。
 もう、この時点で涙もろいことに定評のある秋山は、グッと来ていました。
 イラストレーター飴村さんによる、可愛らしい女子高生が動き回っているだけで、なんかもう良い感じです。オープニングはゲームの導入部分なので、声優さん含め、こういうところにちゃんとお金を掛けてくれると「これから楽しむぞ……!」という気持ちを持つことができますよね

謎の技術

 ネタバレに抵触すると思うので、あまり深くは言えませんが、謎の技術を見ました。
 ○○を○○しろ、みたいな指示を受けて、あまり深いことを考えずに○○したら、突然、○○が起こり「え、何? まさか、今、これに反応したの……!?」みたいなね。
 SCRAPに限らず、最近のリアル謎解きゲームは、様々な技術を応用しているケースが見えますが、このパターンは初めてです。
 けっこう感動しました。

ゲームスタート

 そんなわけで、素敵なオープニングと、謎の技術を目の当たりにして、もうだいぶ満足値が高かったのですが、実は、まだゲームは始まってすらいません。
 司会の方が前に出てきて、状況を整理した後、いよいよゲームスタート。
「よろしくお願いします」
 と、声を掛け合って、テーブルに残された「はづき」の痕跡から、彼女の行方を追っていきます。


 ゲーム中、10分おきに放送が掛かり、マジックアワーが近づいていることが知らされます。
 謎を解いていく過程で物語も進み、少女「はづき」の真実も見えてきます。
 キャストさんの掛け合いや演技もテンション高めで、冷静さを維持して謎を解かないといけないので「うぉー、はづきと一緒に映画を撮るぞー! 青春だー!」と熱くなっていきます。
 そして、あらゆる情報、伏線が感動的なラストに向かって収束し──!

1時間が経ち……

 ゲーム終了の合図と共に、照明が落とされ、エンディングが始まります。
 従来のリアル脱出ゲームであれば、ここで司会が登場し「1時間、お疲れ様でした。それでは、今までを振り返っていきましょう」だとか「果たして、この状況から脱出するのに、どうしていれば良かったのでしょうか」と解説を始めますが、今回は、そんな野暮な感じにはならず、キャストさん物語の登場人物として前に出てきて、プレイヤの行動を「おさらい」するという仕組み。
 なんか茶番じみていて、くすっと笑ってしまいましたが、プレイヤを現実に引き戻さず、あくまで没入感を維持しようとする姿勢は良いなと感じました。


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 秋山のチームは冒頭にも書きましたが、無事に成功! 実際には、制限時間を15分ほど残しての大成功でした。
 ちなみに同じ回で成功したのは21チーム。全体の参加チーム数や脱出率は発表されませんでしたが、公式には「同時に参加するのは各回150名ほど」と記載があるので、単純計算すると38チームです。従って、成功率は50%を越えています。
 もちろん、かんたんなゲームではありません。
 秋山が参加したのは、開催2日目だったので、全国の謎解き猛者が揃っているわけで、最終的な成功率は10~20%くらいに落ち着くと考えられます。参加者全員が成功できるとは限らない難易度の高さが、リアル脱出ゲームなのです。


 成功チーム発表の後は、待望のエンディング。
 成功したこともあって、最後のシーンは、まるで自分が体感しているかのような気分で受け取ることができました。その効果もあってか、もうマジで泣きそう。と言うか、ちょっと泣いていました

オリジナルグッズ

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 公演終了後、フォトスポットコーナーを訪ねようかと思ったのですが、長蛇の列ができていて、まあ、いいかな、と。
 代わりに、こちらはオリジナルグッズ紹介のコーナー。
 恒例の脱出成功/失敗ステッカーをはじめ、いろいろありました。個人的には、謎付きクリアバッグに惹かれました。
 SCRAPの謎付きグッズは、難易度が低めで満足値は低いのですが、このクリアバッグは、謎解きイベントで貰いまくったクリアファイルを保管するのにちょうど良い感じがしていて、今度、買おうかな、と。
 オリジナルTシャツは、間に合わなかった様子で販売延期とのこと。柄は悪くないんですけれど、黒一色なのが難点。ピンクとか赤とか作って欲しいです。

黒板アート

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 こちらは、1階にあった黒板アート
 写真だとよく分かりませんけれど、間近で見ると精緻で、完成度が高いです。
 公演に参加予定のない方も、東京ミステリーサーカスに行けば見られるので、お近くお立ち寄りの際は、見ることをオススメします。

団員先行特典とオリジナルデザインチケット

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 少年探偵SCRAP団という、SCRAPのファンクラブに入っているのですが、先行発売期間中にチケットを抑えたところ、特典として「青春みくじ」とオリジナルデザインチケットが貰えました。
 オリジナルデザインチケットは、公式アプリのクーポンを見せれば貰えるので、ファンクラブに入っていない方も、無料アプリをインストールしさえすれば、当日、ゲットできるチャンスがあります。


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「青春みくじ」について当たりが出ると一眼レフカメラや飴村さんの描き下ろしイラストの他、少年探偵SCRAP団の団長からのメッセージカードが貰えたりします。
 裏面には謎がついていて、さすがにあれなので、表面だけご紹介します。

青春味のうまい棒

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 オリジナルデザインチケットの他にもうひとつ、公式アプリにはお菓子が貰えるクーポンがあります。
 受付でクーポンを見せると、オリジナルデザインのうまい棒が貰えます。果たして、青春味とは何味なのか……!?

おまけ謎

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 こちらは、公演終了後に貰った、おまけ謎つきの解説パンフレット
 公演中はアタフタしてしまって、充分に謎解きを楽しめなかった方も、このパンフレットがあれば、ゆっくりと公演を振り返ることができるので、素敵な心配りだと思います。
 おまけの謎もよく出来ていて、最初は「何やらせるの??」みたいな感じなんですが、最後には「うぉー! 青春だー!」と熱くなります。

反省会キット

『さよなら、僕らのマジックアワー』には「反省会キット付グループチケット」なるグループチケットが存在しており、こちらのチケットで入場すると、受付時に反省会キットというものを貰うことができます。通常のチケットよりも、少し割高になるのですが、ここでしか手に入らない謎やアイテムが含まれており、ファンなら買い! でしょう。
 反省会キットについては、長くなったので個別に記事を書いています。

公演オリジナルグッズ「謎付きクリアバッグ」

 今回の公演に合わせて、Tシャツやステッカーなど、いくつかオリジナルグッズが制作され、東京ミステリサーカスの1階グッズコーナーで販売されていますが、そのうちのひとつに「謎付きクリアバッグ」があります。その名の通り、オリジナルデザインのクリアバッグで、中に1時間程度、遊ぶことができる謎が封入されています。
 公演に参加してみて、気に入った方は、こちらを買い求めれば自宅に帰った後も、もう少し幸せな時間が続きます。別途、記事を書いていますので、よろしければ是非。

一緒に遊んだぺこらさんのコメント

『君の名は。』みたいな感じだったよね。青春……! っていう感じだった。ラストも感動的だったよ。私、ああいうタイプ好き。青春味も美味しかったしね

最後、いきなりうまい棒の話になったね

謎の技術も面白かったね、新しいと思う。後は『君は明日と消えていった』を遊んでから、遊んだ方がいいよね。繋がってる感がいいね

『君は明日と消えていった』は、公式アプリを使えば、少し安く遊べるから、まだ遊んでない方は終わってしまう前に再演を遊んでおいた方がいいよね。もし、チケットを取れるのであれば、連続して取るのも良さそう。涙腺枯渇する可能性あるけど

青春みくじは小吉で、『秒速5センチメートル』っぽい感じだったよ

ぺこらさん、新海誠、好きだね

コラボフードで、かき氷を作って欲しかった! マジックアワーっぽい感じで、二層にしたりさ。ドリンクもいいけれど、やっぱりかき氷! 今からでもいいから!! って言うか、毎回、オリジナルかき氷を作ってるし、今回も作ってくれるもんだと思ってたよ!

寒くなってきたから、冷たいスイーツは避けているのでは?

でも、リアル潜入ゲーム直後は汗もかいてるし、室内はひとが多くて暑いから、冬のかき氷は良いものだよ。……後ね! おまけ要素! いっぱい、探せたね

まあ、おまけ要素があるのは、きださおりさん公演の定番だよね

『君明日』ファンは絶対にオススメ。後は、青春時代に勉強よりも部活動にがんばってた人は、共感できると思う。

終わりに

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 と言うわけで長くなりましたけれど『さよなら、僕らのマジックアワー』の感想でした。
 なにしろSCRAPが誇るきださおりさん必殺の青春謎解きですからね。謎解き未体験の方から歴戦の方まで、広く楽しめる傑作です
 ちなみに、東京ミステリーサーカスでは2019年1月27日まで『君は明日と消えていった』の再演もやっているので、まず、こちらを参加してからというのもありです。尚、こちらは元々、2月24日までの予定だったのですが、主題歌を手掛けていた、ぼくのりりっくぼうよみさんの活動終了に伴い1月27日までとなったので、もしかしたら、もう二度と再演されないかもしれません。未プレイの方は、終わってしまう前に必ず……!!

合わせて読みたい

 さんざん語った後になんですが「そもそも、東京ミステリーサーカスってなに??」という方も多いかと思います。
 東京ミステリーサーカスを初めて知った方は、以前にまとめた記事を書いたので、こちらをご覧ください。


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