雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

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ゴシックホラーの孤城で呪われる『灰色城奇譚プレビュー版』の感想


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 かりかりうめさんのゲームマーケット2018秋の新作『灰色城奇譚プレビュー版』を遊びました。
 GM1人にプレイヤ2~3人と少人数で遊べるTRPGのオリジナルルールです。

かりかりうめさんについて

 かりかりうめさんは、2011年に設立されたサークルで、オリジナルのTRPGシステムやシナリオを手がけたり、リプレイを頒布されています。既に『カムズ』というオリジナルのシステムをひとつ完成されており、『灰色城奇譚』は第2作となる様子です。

概要

 『灰色城綺譚』のテーマはずばり「ゴシック」。呪われた城を舞台としたTRPGです。
 「呪われた城(もしくは館)」の物語とは、たとえばスティーヴン・キングの『シャイニング』、シャーリイ・ジャクスンの『丘の屋敷』、エドガー・アラン・ポーの『アッシャー家の崩壊』といった顔ぶれです。もし直接的にこれらを知らなくても問題はありません。このテーマはいまや普遍的なものとなっているので、皆さんも一つや二つくらいは思い出すことができると思います。

http://www.karikariume.com/archives/1888

遊ぼうと思ったきっかけ

 最初に注目したのは、プレイ人数です。GM1人にプレイヤ2~3人と少人数で遊ぶことができるのが魅力的です。この時点で、プレイヤが1人2役やれば、GM1人とプレイヤ1人でも遊べるのでは? と期待しました。
 また、シャーリイ・ジャクスンやエドガー・アラン・ポーと、秋山が大好きな小説家の名前が挙げられているのも、めちゃくちゃポイントでした。絶対に面白いに違いない……! そう確信しました。ちなみにシャーリイ・ジャクスンの『ずっとお城で暮らしてる』はオススメ中のオススメです。

ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)

ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)

システムを読んで

 ひと通りシステムを読んで、事前の期待値以上に面白そうであるという印象を抱くと同時に、やはり2人プレイは難しいな、とも感じました。
 と言うのも、このゲーム、「囁き」という重要な概念があるのですが、これが、ボードゲームで言うところの隠蔽情報なのです。各プレイヤは、キャラメイクのタイミングで、この「囁き」カードを渡され、このキャラクタが持っている惑いを知るのですが、この惑いは、ゲーム中、順々に公開され、クライマックスフェイズまでに、その惑いを受け入れるのか受け入れずに反発するのか交わしたストーリーを振り返りながら決めていくことになります。
 つまり、じょじょに開示される「囁き」こそが、このゲームの面白さの核であるにも関わらず、1人3役やってしまうと、最初からすべての「囁き」が見えてしまっているわけで、これでは興醒めとしか言いようがありません
 いったい、どうすれば……と思っていたら、20ページにこんな記述がありました。

(前略)GMが2人のPCを操ることで、プレイヤーとの1対1のセッションも可能であるが、GMの影響力が強くなりすぎるため、あえて推奨はしない。

 なるほど! これなら出来そうです!!
 と言うことで、推奨されませんでしたが、GM1人とプレイヤ1人で収録されていたシナリオ「埋葬には早すぎる」を遊んでみました

シナリオ「埋葬には早すぎる」の感想

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 プレイ時間は1時間45分
 キャラメイクから始めて、2人で様々に物語を紡ぎ、登場人物たちの心中を想像し、彼らが現実の存在であったならば、このように判断し、このように行動しただろうと考え、その通りに進め、そして──。
 最終的に物語は狂気に満ちあふれた、しかし登場人物たちにとってはこの上ない幸せな着地を迎えたのであります


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 ゲーム中、印象の処理はけっこう派手に感じていて「これじゃあ、すぐに闇堕ちしちゃうのでは?」と思ったりしましたが、意外に均衡したりして、最後の最後までどっちに転ぶか分からない、瀬戸際を楽しむことができました。
 ちなみに審判は1人1つ決めて、3つ目はランダムで処理しましたが、偶然にも味方されて全員一致となったりして、よく出来てるなー、と。


 全体を通して非常に面白かったのですが、やっぱりGM1人とプレイヤ1人で遊ぶものではないですね。
 今回は、ぺこらさんにPC1を担当いただき、秋山がPC2とPC3を担当したのですが、まあ、ちょっとなおざりなところがあったかもしれません。このシナリオだと、やっぱりせめてもう1人必要ですね。
 ただ、システム的には、PCが3人いる必要性って、主にバランス面を考慮してのことだと思うので、PC2人のシナリオを作れば充分に成立するようにも感じました。

終わりに

 今回はプレビュー版ということで収録されているシナリオもひとつだけだったのが残念ですね。
 けっこう面白かったので、前作の『カムズ』も気になりました。こちらは、GM1人とプレイヤ2人の様子ですが、GMがPC1人を兼任すれば、成立するような気もします。いずれ試してみます。


面白かったよ!

あ、ほんと。良かった!

キャラクタ作るの面白かったよ。能力値を決める必要がないから、かんたんでいいよね。後、TRPGってもっとダイスを振るものだと思っていたから、予想より少なくて驚いたよ

『灰色城奇譚』はわりと交渉してと言うか、会話のうえで合意が得られれば判定する必要がなかったりして、その点、いわゆるシステムと戦うゲームというより、プレイヤ同士で物語を紡いだり、奏でたりする感じだよね

そんな感じ。3人目のキャラクタは謎だったね。もっと、良い惑いってなかったのかな? 自分でオリジナルのキャラクタを作ってもいいんじゃないかな

そこらへんは、シナリオによると思うよ。ゆるく作ろうと思えば、ゆるく作れるけれど、あんまりゆるすぎると慣れてないプレイヤは、逆になにをすればいいか困惑しちゃうじゃない。だから、サンプルシナリオは制限をきつめにしているのかもね

なるほどねー、確かに悩まなくて済んだよ。初心者には向いているのかもね