ガラと玄関の戸を開くと、取っ手が外れた。
仕方がないので、中に入ってから勢いをつけて閉めようとしたら、蝶番が外れて戸は外側に倒れてしまった。
首を振って戸を諦め、上がりこんでみれば廊下が傾いていることに気づく。
軋む廊下を進み、自室の前につく。扉を開けようとしたが、つかえているらしく開かない。あまり強くすると玄関の戸と同じように、外れてしまうのではないかと気が引ける。
しばらくガタガタやっていると、ようやく扉は開いた。
室内は畳敷きになっていたが、雨漏りがあるのか、畳はぐっしょりと濡れ、カビが生えていた。
ツンとかおる腐臭に思わず後ずさる。
その拍子に背後の壁に肘がぶつかり、壁はボコンと陥没した。
「ああ……」
頭を抱えてうずくまる。
「自分の家だからって手を抜くんじゃなかった……」