雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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COGITO, ERGO SUM

 目を醒ました女は、何処かに立っていた。
 それが何処かは判らない。ただ、何処かは判る。いや、そうではなく。
 つまり。それが具体的な何処かは判らないが、少なくとも何処かであることは、頭で判っていた。
 もっとも、だからなんなのだろうか。
 自分が何処かにいることは当たり前だ。生きているにせよ死んでいるにせよ。
 何処かにいるのならば、それは何処かなのだろう。それが何処であろうと関係ないはずだ。
 では、なぜ。
 女は戸惑い、周囲を見回した。
 周囲には何の特徴もなかった。明るいのかもしれない、暗いのかもしれない、広いのかもしれない、狭いのかもしれない。女には何も判らなかった。
 見えないわけではない。目は見える。手を伸ばすこともできるが、何もない。
 足は確かに地面を感じている。でも、判らない。
 何が判らないかも判らない、自分が何処にいるのかも。何処から来たのかも。
 判らないまま、女は目を瞑った。そしてそのまま考えることをやめた。
 世界が終わった。


『世界の終わりの終わり』434文字