雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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I-MY-ME_02

 それはさておき、僕は給食に美味しいものが出たら、最後まで取っておく派だ。大貧民では強いカードを最後まで残しておくし、電車では敢えて最後に乗り込む。勉強は英語から初めて、数学、理科、社会、そして国語だ。
 僕は空に目を向ける。
 君が見ている空と同じ空を見る。
 種類はよく分からないけれど、孤立したマシュマロのような雲、空にローラを転がして模様をつけたような棚引いた雲、飛行機が突き抜けた後の尻尾が生えている雲、他の雲を吸いこんで妙にデブくなった雲。それらの一つひとつが、時間を掛けて彩色されたような芸術品だった。美しいとか、綺麗とか、おそらくそんな言葉は一切必要がないほど、その光景は目に焼きついた。きっとこの先長い人生、人から「君は夕焼けの空というものを見たことがあるかね?」と訊ねられたとき、僕は自信をもってハイと答えられるだろう。
「どう?」
「いいね」
「そうじゃなくて」
「ん?」
「落ち着いてるように見えるけど、汗もかいてないし」
「うん、そうだね」
「……ねえ」
「なに?」
「どうして、呼び出したか、分かる?」
 一応、候補は二〇ほど挙げられる。蓋然性から言えば告白がダントツで一位だ。ちなみに二位は誰かに告白したいから掛け橋となってくれ、三位はこの間借りた三千円は返せそうにない、だ。


『君と僕との私の交換 第二話』553文字