雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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MOONLIGHT

 樹上にて佇むミネルヴァに、どこかから現われた夜色の布が巻きついてゆく。長い布がミネルヴァの肢体を幾重にも包みあげ、その眩いばかりの身体を隠し、輪郭を曖昧にしてゆく。ただ一点、月と同じ色を持った左目だけが紫黒から覗いている。
 夜色の衣は、ミネルヴァを夜と同化させ、その片目を夜の中天に浮かぶ月とさせる。
 瞬き、月が隠れる。その刹那、勢いよく開かれたミネルヴァの両腕がバサリと音を立てる。布が揺れ、今や梟の翼にも似た腕を駆り、智慧の女神は夜に舞う。慧眼が開かれる。東から西へとミネルヴァは夜空を飛んでいく……。


ミネルヴァの梟は真夜中に飛び立つ』256文字