ムゲンのカナタへ。
いつかどこか夢の中、遠い約束、記憶の奥に眠っている不思議な言葉、一息で放てる呪文、やさしい息吹、胸の中に吹きこむ風、蒼穹の想い出、追いかけていた後姿、隣に立ってはじめて見ることができる横顔、透明な階段、頬を撫でる夜風、冷たい月の燐光、星々の祝福、揺れるカーテン、それはまるで夢のような、一夜だけの幻、手に触れる温もり、なんて美しい、何人にも辿りえない、交換しがたい。
セツナのカイコウ。
やがて訪れる夜明け、魔法の終わり、夜を駆逐する黎明、たゆたいまどろむ意識、朝を感じ、目を醒ます身体、木漏れ日の中に残り香を見つけ、朝風の中に憂いを残し、空虚を感じる心、次の逢瀬を願う哀しい眼差し、夢幻の狭間に漂う虚構、いずれは同一の存在になれるという幻想、叶うことのない希望、満たされることのない欲望、明けない夜、降り止まない雨、どこにも続かない道、永遠に繰り返す階段、どこかで変えなくてはならない思考。
ナミダをふいて唱えよう。一息で放てる呪文、至るための言葉。
ムゲンのカナタへ。
