雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

COMPLICATED CONTEXT

 深窓の令嬢を揶揄していたかつての自分が恨めしい。なんて世間知らず。今まで自分を包んでいた生暖かいぬるま湯のような闇は、吐き気がするほど居心地が悪くなったと言うのに、未だに自分はここから抜けだして、双眸を刺し貫くであろう朝陽を直視するのが恐い。思い返してみるがいい、自分は今日、どんな惨めな言い訳をしただろう。それを今、あれは演技だったと自分にまで言い訳している自分がいる。思い上がりも甚だしい、無様に無様を重ねる、案山子もいいところだ。さあ、もういい加減、認めてやろう。自分は紛れもない敗者なのだと。全否定するしかない、敗北主義者なのだと。
 その瞬間。彼女を取り巻く思考は、きれいに螺旋を描いて輪廻を結んだ。矛盾しているのならばまだ救いのある複雑な思考。彼女はそれを伸ばした両手で掴んでしまった。


『終了の兆し』350文字