大塚英志著『物語の体操』が消えました。それはもう冒険の書が消えたときなみにショックです。けれど、1度失われてしまったデータを復活させることが困難なのに対し、なくした本は探す手間さえ掛ければ見つかります。面倒ではあるが。
と言うわけで、カラフルピュアガール2003年07月号を手に入れました。エロゲー雑誌です。カラーな誌面は、眩しいし、配置のセンスが悪いし見てられません。投稿イラストのコーナは、1枚1枚のスペースが広く取られているので、いい感じですね。後、各種ソフトハウスによる宣伝コラムを見て、知っている会社がやけに少ないことに気付く。知っているのを挙げてみれば、アボガドパワーズ、GROOVER、たまソフト、minori、みるくそふと、と言ったあたりか……確かゆきうなぎが、エロゲー会社100は言えると言っていたから、奴の20分の1か。別に全然全くこれっぽっちも悔しくないけどなコノヤロウ(負けず嫌い
元長柾木氏に知っているいることを幾つか。
・エロゲーのシナリオライタ。
・SFマガジンの第6号だったかに短編が載った。
・月姫ノベルアンソロ2巻に短編を寄せた。
・ピュアガで連載コラムを持っている。
・同人で月姫ノベルを書いている。
・新現実第3号に小説が掲載予定、発売はいつだ大塚英志!
・ファウスト2号に登場させろとハガキを送った。
こんなところか。
さて、どうして自分がピュアガに手を出して、元長柾木氏のコラムを読んだかと言えば、自分が彼に憧れを抱いているからだ。語弊を招くかもしれないが、自分はエロゲーという比較的自由に表現できる場から*1、ライトであっても小説というジャンルに身を移す行為を凄いと思う。同様に『ファントム』や『吸血殲鬼』のシナリオライタや、『グリーングリーン』のシナリオライタも、そしてあの奈須きのこも尊敬に値する。言い過ぎ?
まあ自分の個人的事情はどうでもいいとして、日頃からピュアガを購読しているわけでもない自分が、わざわざ元長柾木氏のコラムのためにピュアガを手に入れたのは、ちょうどこの号の内容が、大塚英志の『物語の体操』に関係していたから。
いずれ他の号に掲載された物と合わせて、小冊子にでもして即売会で売って欲しいと思うが、それはどうでもいいとして、今や手に入れにくい文章でもあるので、開けっ広げに説明してしまおう。
元長柾木はまず、大塚英志が『物語の体操』で、読者が知りたいのは物語であって作者ではないということを作家志望に教えようとしている、と指摘している。確かにこれは正しい。たとえ作者がベストセラー作家になりたい! と思っていようがいまいが、読者からしてみれば、自分が読む1冊が面白ければよい、と。もっともこれは読者が生涯に接する作家の大半であって、何人かは例外となる。自分の場合は、森博嗣や佐藤友哉が、作家本人のことについても知りたいなと思う作家である。
ここまで2段落。そして残りの2段落で元長柾木は「本来、読者は作家に興味を抱かないはずなのに、最近は作家が自分を押し付けまくる作品が流行っている」と続けており、その例として、西尾維新・上遠野浩平・新海誠・舞城王太郎・浦賀和宏・うえお久光を挙げている。そしてこれを指摘している概念として、笠井潔「ジャンルX」と二階堂黎人「キミとボク本格」を挙げ、それを「メフィスト賞/電撃文庫/美少女ゲーム的世界観」と換言している。まあ、何て言いますか、俗に言うセカイ系? そういうのが流行っている、と。
数十行に渡って、そういった潮流が形成されるに至った動機理由なんかが書かれており、その後、美少女ゲームのシナリオを書くのならこういうのが必要なんじゃない? と言って終わっている。
役に立ったか否かで言えば、「まあ、うん」といった感じ。
何て言うか、自分の中で上のはもう何人かの若手作家による専売特許化してる気がする。西尾維新とか、秋山瑞人とかね。特に西尾維新なんかは、キミボクを意識した『きみとぼくの壊れた世界』なんかを書いて、それがついこの前刊行されてしまったし。
まあ、そういったわけで、次なるものが必要だろうとは思うがそうそう簡単に思いつくわけが……なんて、実は既に見当はついている。エロゲーやらない人間がエロゲーを語るな&萌えない人間が萌えを語るなって感じだろうが、この手法だったらエロゲーとかライトノベルな層には受けるかもな、と言うような。もっともこれは理論だけで、まだ実戦していない。それにまだセカイ系万歳みたいな空気がなきにしもあらずだしね。谷川流の『ハルヒ』なんてどこがいいんだろうね。
尻切れトンボ。
久々だからか、歯切れが悪い。20点。