面白い本を読んだので紹介。
すぐれた書物というものは普通、豊かな内容を格調の高い文体で表現したものと相場が決まっている。「乏しい内容」を「バラバラな文体」で書いた本など、いったい誰が読む気になるだろうか。ところがレーモン・クノーの『文体練習』Raymond Queneau, Exercieces de style, Gallimard, 1947.は、まさにそのようなやり方で書かれた世にも珍しい本であり、しかもそれゆえにフランスでは広く愛読されつづけているという、きわめて逆説的な書物である。
(訳者あとがきより)