雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

燃やさせない日曜日

 小川一水第六大陸』を読んでいて思ったことがあります。名付けて絶対零度のロジック。ハードな目標には、どうやらそれを達成するために他の全てをカットできる冷酷さと使命感や熱意が求められるようです。秋山は『回廊』というアマチュア文芸誌の編集長ですが、創刊号を作り始めたときからその工程や工夫した点をこまめにメモしています。そして、時間さえあれば誰にでも秋山の代役が務められるように、なるべく作業をシステマティックにしていこうとしていました。しかしひょっとしたら、秋山が今まで重視してきたのは些細で本質的でない問題なのかもしれません。本当に必要なのは、手段や方法ではなく、それを選択する人間の意志であり、それこそが才能と称されるのかもしれません。秋山が自身の魂の劣化を感じているとすれば、それはきっと自身の選択に自信が持てず、自身の歩いてきた道に価値が見出せないからでしょう。過去を承認さえすれば、秋山の不安は拭い去られるでしょう、しかしそこに脅えがあります。果たして自信と周囲を見回す余裕を手に入れてなお、秋山は以前と同じように行動できるか、以前と同じように絶対零度のロジックを駆使し、孤独感や不安感をカットできるかという脅えがあります。今までは自分自身に疑いの目を向けることすら、停滞の要因になるとカットしてきました、ここで再び同じことをすれば、一旦は解決しますが、やがて今と同じ迷いを抱くことになるでしょう。かと言って、単純にカットしないという選択も危険です。過去の自身を承認することは、その状態に甘んじることに繋がり、過去の否定を現在における推進剤として使っている、つまり自分の行動で自分で省みてそれを修正することで加速するというシステムをカットすることを意味します。……そう、複雑なのですよ。客観的に見れば単純なことに悩んでいるかもしれませんが、本人からすれば、中々に複雑なのです。どこかに落ちていないものでしょうか、第三の選択肢。