- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1999/08/01
- メディア: 文庫
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第三回鮎川哲也賞受賞作。七篇の短編連作という形式を取っていながら、最後の一篇で、それまでの話が実はすべて関係しており、ひとつの長編小説だったと明かされる……と人から聞いていたのだけれど、実はそこまで完成度は高くなかった。とは言え、最後の一篇が明かす真相の存在感は大きい。ところで自分は本書が描いている人間の方をより重要視したい。主人公は十九歳の女子大生なのだが、その存在が非常にリアルで、とても親近感が持てる。各短編で扱われているテーマも、緻密で繊細なもので、読みながら何度も泣いてしまった。こういう本こそ大人は若者に紹介するべきではないだろうかと思う。