雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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仮面山荘殺人事件

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

 八人の男女が集まった山荘に、逃亡中の銀行強盗が訪れる。ふたりの銀行強盗によって一時的な人質とされた八人は様々な手段を用いて、外部と連絡を取ろうとするが、その全てが何故か失敗に終わる。極度の緊張状態が続く中、殺人事件が発生する。容疑者は九人、ふたりの銀行強盗と七人の男女。冷静に考えて銀行強盗は、殺人事件の犯人なりえない、ならば犯人は七人の中にいるのか? 銀行強盗によって拘束され、もはや隣にいる昨日までの味方さえ信用できず、ついに待ち合わせていた三人目の銀行強盗が現われてしまい……。
 タイトルは仮面山荘、しかし作中に仮面は、たったの一回しか登場しない。解説の折原一によって、本書は最後の最後にとんでもないどんでん返しが用意されていると知らされ、それを期待したのだが、どんでん返し自体は、驚愕の、と言うほどでもなかった。むしろどんでん返しがあった後の、どうにもならない虚無的で、沈みきった空気が胸を打った。題名に冠せられた仮面という言葉の真意、そして結末を迎えた後の、登場人物が残りの人生をいかに生きるのか。選択肢を究極的に誤ってしまった一例がここにある。